※本記事は2026年9月時点の情報です。金利は毎月見直されるため、申込時の最新の利率は記事末尾の公的機関リンクでご確認ください。
まず結論:3行でわかる要点
- いちばんの違いは金利ではなく借りる人。教育ローンは親、奨学金は学生本人が返す
- 金利差はこの1年で大きく縮んだ。400万円を借りた場合の総返済額の差は数万円しかない
- それでも順番は給付型 → 第一種(無利子)→ 第二種 → 教育ローン。返済不要と無利子が先
子どもの進学にかかるお金をどう準備するか。「教育ローン」と「奨学金」はよく名前を聞くけれど、違いがよくわからない――そんな人は多いはずです。この記事では、両者の仕組み・金利・返済方法を比較し、併用の考え方や判断基準まで整理します。
教育ローンと奨学金、何が違う?
まずは全体像を表で確認しましょう。ここでは、もっとも利用者の多い「国の教育ローン(日本政策金融公庫)」と「JASSO(日本学生支援機構)の奨学金」を比較します。
| 項目 | 国の教育ローン | JASSO 奨学金 |
|---|---|---|
| 借りる人 | 保護者(親) | 学生本人 |
| 金利 | 固定 年4.05% (令和8年7月1日現在・保証料別) |
第一種:無利子 第二種:利率固定方式 年3.000% 利率見直し方式 年2.200% (令和8年8月に貸与終了した人の利率) 給付型:返済不要 |
| 返済開始 | 借入翌月から(在学中は利息のみ返済も可) | 卒業後から |
| 借入限度額 | 子ども1人あたり350万円 (一定の要件に該当すれば450万円) |
種別・進学先により月2万〜12万円 |
| 審査基準 | 世帯年収の上限あり(子1人:790万円) | 第一種:成績+収入基準 第二種:収入基準のみ 給付型:住民税非課税世帯等 |
| 受け取り方 | 一括振込 | 毎月振込 |
返済シミュレーション比較
実際に400万円を借りた場合、毎月いくら返すことになるのかを比較してみましょう。金利が上がったことで、以前とは景色が変わっています。
| 項目 | 国の教育ローン (年4.05%・15年返済) |
奨学金 第二種 (固定 年3.0%・20年返済) |
|---|---|---|
| 借入額 | 400万円 | 400万円 |
| 月々の返済額 | 約29,700円 | 約22,200円 |
| 総返済額 | 約534万円 | 約532万円 |
| 利息の合計 | 約134万円 | 約132万円 |
ここが、この記事でいちばん伝えたい変化です。「奨学金は金利が安いから得」という前提は、もう成り立ちません。
ただし、これで教育ローンと並んだのは第二種(有利子)だけです。給付型は返済そのものが不要で、第一種は無利子。この2つとの差はまったく縮んでいません。だから検討の順番は変わらず、給付型 → 第一種 → 第二種 → 教育ローンです。
第二種を選ぶときは、利率固定方式(年3.000%)と利率見直し方式(年2.200%)のどちらにするかという判断も出てきます。見直し方式はおよそ5年ごとに利率が変わるので、いまの水準では安いぶん、今後の金利上昇は自分で受けることになります。
※上記はあくまで概算です。第二種の利率は貸与が終了した月のものが適用され、毎月変わります。教育ローンの金利も見直されます。実際の返済額は借入時期の利率や返済方式(元利均等・元金均等)によって変わります。
併用という選択肢
教育ローンと奨学金は、どちらか一方しか使えないわけではありません。実は併用が可能で、それぞれの強みを活かした使い分けができます。
なぜ併用するのか?
- 教育ローンは入学前に一括で受け取れる → 入学金や前期学費など、まとまった初期費用に対応できる
- 奨学金は毎月の振込 → 月々の学費・生活費をカバーするのに適している
- 奨学金だけでは入学前の費用に間に合わないケースが多い
併用モデルケース
| 用途 | 利用する制度 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 入学金+前期学費 | 国の教育ローン | 100〜150万円 |
| 月々の学費・生活費 | 奨学金(第二種) | 月5〜8万円 |
| 教科書・パソコン等 | 教育ローンの余剰分 | 20〜30万円 |
どちらを選ぶ?判断フローチャート
状況に応じてどの制度を使うべきかを整理しました。以下のチェックポイントを順に確認してみてください。
| あなたの状況 | おすすめの選択 |
|---|---|
| 住民税非課税世帯で、進学先が対象校 | 給付型奨学金を最優先で申請 |
| 成績が基準を満たしている | 第一種奨学金(無利子)を申請 |
| 成績基準は厳しいが、収入基準は満たす | 第二種奨学金(有利子)を申請 |
| 入学前にまとまったお金が必要 | 国の教育ローンを併用 |
| 奨学金の申込期限を過ぎてしまった | 教育ローン(通年申込可能)を検討 |
返済で困ったときの制度
卒業後に収入が安定しなかったり、想定外の事情で返済が苦しくなることもあります。そんなときに使えるセーフティネットを知っておきましょう。
奨学金(JASSO)の救済制度
- 返還期限猶予:年収300万円以下などの条件を満たせば、最大10年間返済を先送りできる
- 減額返還:月々の返済額を2分の1・3分の1・4分の1・3分の2のいずれかに減らし、返済期間を延長する制度。2024年4月に基準が緩和され、給与所得者は年収400万円以下まで対象になりました(ただし延滞していると利用できません)
- 返還免除:本人の死亡や重度障害の場合、残りの返済が免除される
※それぞれの条件と、延滞したときに何が起きるかは奨学金の返還が苦しいときで詳しく整理しています。
教育ローン(日本政策金融公庫)の救済制度
- 返済期間の延長:相談により返済期間を見直し、月々の負担を軽減できる場合がある
- 在学中の元金据置:在学期間中は利息のみの支払いに変更できる
まとめ
この記事のポイント
- 教育ローンは親が借りて一括受取、奨学金は学生本人が借りて毎月受取
- 検討の順番は 給付型(返済不要)→ 第一種(無利子)→ 第二種 → 教育ローン
- 第二種と教育ローンの差はほぼ消えた:第二種の利率固定方式が上限の年3%に達したため
- 併用が現実的な選択肢:入学金はローン、月々の学費は奨学金と使い分けられる
- 返済に困ったら放置しない:猶予・減額・免除など救済制度を早めに活用する
- 申込時期に注意:奨学金は年1〜2回の募集、教育ローンは通年で申込可能

あわせて読みたい
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。金利や制度内容は変更される場合があります。最新情報は日本政策金融公庫・日本学生支援機構の公式サイトでご確認ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の推奨や契約の助言を行うものではありません。
参考情報・公的機関リンク
本記事は以下の公的機関の公表資料を参考に作成しています。最新情報・最新の制度内容は各公式サイトでご確認ください。
- 国税庁「タックスアンサー」 — 所得税・住民税・各種控除の解説
- 文部科学省「子どもの学習費調査」 — 幼稚園〜高校までの教育費統計
- 日本学生支援機構(JASSO) — 奨学金の制度・返済・申込み
- JASSO「第二種奨学金の貸与利率の推移」 — 記事中の利率固定方式・利率見直し方式の数値
- 日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」 — 金利・融資限度額・世帯年収の上限
- 日本銀行 — 金利・経済統計・金融政策
よくある質問
Q. 教育ローンと奨学金の違いは?
奨学金は学生本人が借りて卒業後に返済、教育ローンは保護者が借りて在学中から返済します。金利や借入時期、返済者が異なります。
Q. 教育ローンと奨学金どちらを選ぶ?
金利は一般に奨学金(特に無利子の第一種)が低めです。まとまった資金が早く必要なら教育ローン、月々の補助なら奨学金が向きます。併用も可能です。
Q. 奨学金と教育ローンは併用できる?
できます。入学金など一時費用を教育ローンで、在学中の費用を奨学金でまかなうなど、組み合わせて負担を分散する方法があります。
Q. 第二種奨学金は「利率固定方式」と「利率見直し方式」のどちらを選べばいい?
令和8年8月に貸与が終了した人の利率は、固定方式が年3.000%、見直し方式が年2.200%です。見直し方式はおよそ5年ごとに利率が変わるため、いまは安いかわりに今後の金利上昇を自分で受けます。固定方式は上限が年3%と決まっているので、それ以上には上がりません。なお適用されるのは申込月ではなく貸与が終了した月の利率です。
Q. 借りたあと、返済が苦しくなったらどうすればいい?
JASSOには減額返還と返還期限猶予の2つがあり、どちらも自分から願い出る制度です。とくに減額返還は延滞していると使えません。延滞が3か月続くと個人信用情報機関への登録対象になり、住宅ローンやクレジットカードに影響します。滞る前に動くかどうかで結果が変わります。


