※本記事は2026年9月時点の情報です。国民健康保険料(税)の料率や減免の取り扱いは、お住まいの市区町村の条例により異なります。
まず結論:3行でわかる要点
- 保険料を下げる道は5つある。うち3つは届出をしないと適用されない
- 会社都合で辞めた人は前年の給与所得を30%として計算。効き方がいちばん大きい
- 2026年度は判定基準が上がり、5割軽減31万円・2割軽減57万円になった
退職して国民健康保険に切り替えたとき、届いた保険料の額に驚く人がいます。会社員のときは会社が半分払っていたものが、全額自分の負担になるからです。
ただし、国民健康保険には保険料を下げる仕組みがいくつも用意されています。自動で適用されるものもあれば、こちらから届け出ないと一生適用されないものもあります。
この記事では、5つのルートと、2026年度に変わった判定基準を整理します。
保険料は何でできているか
国民健康保険料は、3つのパーツを足し合わせて計算されます。それぞれに「所得に応じた部分」と「頭数に応じた部分」があります。
| パーツ | 中身 | 2026年度の上限 |
|---|---|---|
| 医療分(基礎) | 医療費にあてる、いちばん大きい部分 | 67万円(前年度66万円) |
| 後期高齢者支援金分 | 75歳以上の医療制度を支えるための負担 | 26万円(据え置き) |
| 介護分 | 40歳から64歳の人だけかかる | 17万円(据え置き) |
この3つを足した上限が、2026年度は110万円です(2025年度は109万円)。ここに加えて、2026年度から子ども・子育て支援納付金にあたる部分の上限も設けられました。
それぞれのパーツは、所得に応じた所得割、加入者1人あたりの均等割、1世帯あたりの平等割に分かれます。以下で出てくる軽減は、主にこのうちの均等割と平等割にかかります。
「保険料」と「保険税」
市区町村によって、国民健康保険料と呼ぶところと、国民健康保険税と呼ぶところがあります。名前が違うだけで、しくみはほぼ同じです。この記事では「保険料」で統一します。
保険料を下げられる5つのルート
順に見ていきます。届出が要るかどうかが、いちばん大事な違いです。
① 所得が低い世帯の7割・5割・2割軽減(届出は不要)
世帯の所得が基準を下回ると、均等割と平等割が自動的に7割・5割・2割のいずれか減ります。所得の申告さえしていれば、市区町村が判定してくれます。逆に、所得がゼロでも申告をしていないと判定できず、軽減が受けられません。収入がなかった年も申告は必要です。
② 会社都合で辞めた人の軽減(届出が必要)
倒産や解雇、雇い止めで離職した人は、前年の給与所得を100分の30、つまり3割として保険料を計算します。年収400万円だった人の給与所得は276万円ですが、その3割の82万8,000円として扱われるということです。効き方がいちばん大きいのがこれです。
対象は雇用保険の特定受給資格者と特定理由離職者。期間は離職日の翌日から、その翌年度の末日までです。自動では適用されません。離職票などを持って窓口で届け出る必要があります。
③ 未就学児の均等割が半額(届出は不要)
小学校に上がる前の子どもについて、均等割が5割軽減されます。2022年4月から始まった制度で、公費でまかなわれています。①の軽減を受けている世帯は、軽減後の残りの額からさらに半分になります。
④ 産前産後の4か月は免除(届出が必要)
出産予定月または出産月の前月から4か月分、その人の均等割と所得割が免除されます。多胎妊娠の場合は3か月前からの6か月分です。2024年1月から始まりました。届出をして初めて適用されます。出産予定日の6か月前から申請できます。
⑤ 条例による減免と納付猶予(申請が必要)
災害にあったとき、その他の特別な事情で納めることが困難なときは、市区町村の条例に基づいて減免や納付猶予を受けられる場合があります。基準は自治体ごとに違うので、窓口で「うちの市に減免はありますか」と聞くところから始まります。
7割・5割・2割は「世帯の所得」で判定される
①の軽減は、世帯の所得の合計で決まります。2026年度の基準は次のとおりです。
| 軽減の割合 | 2026年度の基準額(これ以下なら該当) |
|---|---|
| 7割軽減 | 43万円 |
| 5割軽減 | 43万円+31万円×加入者数 |
| 2割軽減 | 43万円+57万円×加入者数 |
※給与所得者や年金所得者が世帯に2人以上いる場合は、いずれの基準額にも「10万円×(その人数−1)」が加算されます。
※加入者数には、同じ世帯で国保から後期高齢者医療制度に移った人も含みます。
単身世帯なら、5割軽減は43万円+31万円で74万円以下、2割軽減は43万円+57万円で100万円以下が目安になります。2人世帯なら、5割軽減は105万円以下、2割軽減は157万円以下です。
判定に使うのは「世帯主+加入者全員」の所得
見落とされやすいところです。世帯主自身が国民健康保険に入っていなくても、判定には世帯主の所得が含まれます。同じ収入でも、誰と同居しているかで結果が変わることがあります。
2026年度に変わったこと
毎年度、判定基準と上限額が見直されています。2026年度の改正内容は次のとおりです。
| 項目 | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|
| 5割軽減の加算額 | 30万5,000円 | 31万円 |
| 2割軽減の加算額 | 56万円 | 57万円 |
| 医療分の上限 | 66万円 | 67万円 |
| 上限の合計 | 109万円 | 110万円 |
加算額が上がったということは、軽減に該当する所得の範囲が少し広がったということです。去年は対象外だった世帯が、今年は2割軽減に入ることがあります。
一方で上限は引き上げられています。所得の高い世帯の負担が増え、その分で中間層への配慮を可能にする、という構造です。
モリガマがちょうどいいものを持ってきてくれました。

退職直後なら、そもそも国保に入るのが正解とは限りません。任意継続や家族の扶養と比べてから決めたいところです。
まとめ
- 保険料は医療分・後期高齢者支援金分・介護分の合計。上限は2026年度で110万円
- 下げるルートは5つ。②会社都合・④産前産後・⑤減免は届出が要る
- 会社都合で辞めた人は給与所得を3割として計算。離職の翌日から翌年度末まで
- ①の軽減は所得の申告をしていないと判定されない。収入ゼロでも申告する
- 2026年度の基準は5割軽減31万円・2割軽減57万円。前年度より枠が広がった
- 判定には世帯主の所得も入る。国保に入っていない世帯主でも含まれる
よくある質問(FAQ)
Q. 会社都合で辞めた場合、国民健康保険料はどれくらい下がりますか?
A. 前年の給与所得を100分の30として保険料を計算します。所得に応じてかかる所得割が下がるだけでなく、7割・5割・2割軽減の判定にもこの3割の所得が使われるため、軽減の対象に入る人もいます。対象は雇用保険の特定受給資格者と特定理由離職者で、期間は離職日の翌日からその翌年度の末日までです。
Q. 軽減は自動で適用されますか?
A. ものによります。所得が低い世帯の7割・5割・2割軽減と、未就学児の均等割半額は届出が不要です。一方、会社都合で辞めた人の軽減、産前産後の免除、条例による減免は、こちらから届け出ないと適用されません。ただし所得が低い世帯の軽減も、所得の申告をしていないと判定できないため、収入がなかった年も申告が必要です。
Q. 2026年度の軽減の判定基準はいくらですか?
A. 7割軽減は43万円以下、5割軽減は43万円に31万円×加入者数を足した額以下、2割軽減は43万円に57万円×加入者数を足した額以下です。給与所得者や年金所得者が2人以上いる世帯では、いずれにも10万円×(その人数−1)が加算されます。2025年度は5割軽減が30万5,000円、2割軽減が56万円だったため、対象となる範囲が少し広がりました。
Q. 保険料に上限はありますか?
A. あります。2026年度は医療分67万円、後期高齢者支援金分26万円、介護分17万円の合計110万円です。2025年度の109万円から1万円引き上げられました。加えて2026年度から、子ども・子育て支援納付金にあたる部分の上限も設けられています。
Q. 出産するときの免除はいつ申請すればいいですか?
A. 出産予定日の6か月前から申請できます。出産予定月または出産月の前月から4か月分、多胎妊娠の場合は3か月前からの6か月分について、その人の均等割と所得割が免除されます。2024年1月に始まった制度で、届出をして初めて適用されます。
参考・出典
※料率や減免の基準は市区町村ごとに異なります。実際の金額と適用可否は、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

