※本記事は2026年8月時点の情報です。食料品の消費税率引き下げは政府の方針が表明された段階で、法律はまだ成立していません(秋の臨時国会に法案提出の見通し)。最終的な内容は国会審議で変わる可能性があります。
まず結論:3行でわかる要点
- 食料品の消費税が8%→1%に。2027年4月から2年間の期間限定
- 安くなるのは税込価格の約6.5%。月5万円の食費なら年約3.9万円
- 外食と酒類は対象外(10%のまま)。まだ法律は成立していない
- 1%への引下げは単独の減税ではない。給付と組み合わせて「実質ゼロ化」を狙う設計
2026年7月30日、高市首相が食料品の消費税を1%に引き下げる方針を表明しました。もともとの公約は「2年間0%」でしたが、実際に決まったのは「1%」です。
そして2026年8月5日、この方針が閣議決定されました。「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針という文書です。名前のとおり、話の中心は消費税ではありません。食料品の1%は、その本体の制度が始まるまでの「つなぎ」として位置づけられています。ここを押さえておくと、2年で終わる理由も、給付とセットになっている理由も筋が通ります。
いつから始まるのか、何が対象なのか、そして自分の家計はいくら安くなるのか。ニュースだけでは分かりにくい部分を、順番に整理します。
何が決まったのか(7月30日に表明、8月5日に閣議決定)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 税率 | 飲食料品の消費税を 8% → 1% に引き下げ |
| 開始時期 | 2027年(令和9年)4月から |
| 期間 | 2年間の期間限定。終了後は8%に戻る想定 |
| 対象 | 現在の軽減税率8%が適用されている飲食料品(外食・酒類は除く) |
| 現在の状況 | 首相が方針を表明した段階。法律はまだ成立していない(秋の臨時国会に法案提出の見通し) |
「決定」といっても、まだ法律ではない
ニュースでは「決定」と報じられていますが、正確には政府・与党が方針を固め、首相が表明した段階です。実際に実施されるには、法案が国会で可決・成立する必要があります。
その後2026年8月5日に閣議決定され、政府の方針としては固まりました。ただし閣議決定は「政府としてこう決めた」という段階で、税率を変えるには法律が要ります。秋の臨時国会に法案を提出し、成立を目指すとされています。
開始が2027年4月と1年以上先なのは、レジや会計システムの改修に時間がかかるためです。
何が安くなって、何が変わらないのか
対象になるのは、いま軽減税率8%が適用されている飲食料品です。つまりスーパーやコンビニで買う食料品・飲料が中心で、外食と酒類は対象外です。
| 買うもの | 今 | 2027年4月から |
|---|---|---|
| スーパー・コンビニの食料品 | 8% | 1% |
| 飲料(お茶・ジュースなど) | 8% | 1% |
| テイクアウト・宅配 | 8% | 1%(調整中) |
| 外食(レストラン・居酒屋) | 10% | 10%のまま |
| 酒類(ビール・ワインなど) | 10% | 10%のまま |
| 日用品・洗剤・ティッシュ | 10% | 10%のまま |
家計はいくら安くなる?世帯別に試算
「7%安くなる」は少し違う
8%から1%へ、差は7%。そのため「7%安くなる」と説明されることがありますが、これは少し不正確です。
消費税は「税抜価格」にかかるため、いま払っている税込価格を基準にすると、値下がり幅は約6.48%になります。1万円分の食料品なら、安くなるのは約648円です。
税込10,800円の食料品(税抜10,000円+消費税8%)→ 税率1%なら税込10,100円
安くなる額 = 10,800円 − 10,100円 = 700円(税込価格の約6.48%)
この6.48%を使って、月の食費別に試算すると次のようになります。
| 世帯の目安 | 月の食費 (税込) |
月あたり | 年間 | 2年間の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 単身 | 30,000円 | 約1,944円 | 約23,300円 | 約46,700円 |
| 2人世帯 | 50,000円 | 約3,241円 | 約38,900円 | 約77,800円 |
| 3人世帯 | 60,000円 | 約3,889円 | 約46,700円 | 約93,300円 |
| 4人世帯 | 76,000円 | 約4,926円 | 約59,100円 | 約118,200円 |
| 食費が多い世帯 | 100,000円 | 約6,481円 | 約77,800円 | 約155,600円 |
※食費のすべてが軽減税率8%の対象商品だった場合の上限値です。実際にはお酒・外食・日用品が含まれる分、軽減額はこれより小さくなります。
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世帯人数と月の食費を入れるだけで、あなたの家計でいくら軽くなるかを試算できます。
なぜ公約の0%ではなく1%になったのか
もともとの公約は「食料品の消費税を2年間0%」でした。それが1%になった最大の理由は、レジシステムの改修に時間がかかることです。
1989年の消費税導入以来、国内のレジのほとんどは「消費税がかかる」前提で設計されています。税率をゼロに設定する機能に対応していない機種が多く、0%にするには大規模な改修が必要で、1年以上かかると見込まれていました。
一方、1%であれば既存の「税率を変更する」仕組みで対応できます。結果として、0%より早く実施できる1%が選ばれたという経緯です。
1%なのに「実質ゼロ」と言われるのはなぜ?
ニュースで「実質ゼロ」という言葉を見た人もいるはずです。税率は1%なのに、なぜゼロなのか。閣議決定の文書には、こう書かれています。
足下の物価高に鑑み、できる限り早期に対応を講ずる観点から、令和9年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とする。
あわせて、(中略)飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内で、現時点で公的機関が保有する所得情報を活用した「所得に連動したきめ細かな給付」を令和9年度に導入する。
これらの取組により、全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を実現する。
「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針(令和8年8月5日 閣議決定)より
つまり「税率を1%に下げる」+「残り1%相当分を給付で返す」=実質ゼロ、という組み立てです。全員の値札が0%になるわけではありません。
そして給付のほうには対象があります。閣議決定では「中低所得の現役勤労者」に手厚く対応する、とされています。所得に応じた給付なので、高所得層は1%の値下がり分しか受け取れないと考えるのが自然です。「実質ゼロ」という言葉だけを見て、全世帯が0%になると受け取らないほうがいいところです。
つなぎの給付は「15歳以下の子」で加算される
この2年間の給付は、あくまで本体制度を先取りした経過措置です。文書には、本格導入時とは違う点が明記されています。
- 配偶者の所得を勘案する例外措置は設けない
- こどもの加算は、本格導入時の18歳以下ではなく15歳以下の人数に応じて行う
本体の「所得に連動したきめ細かな給付」は令和11年度(2029年度)に本格導入とされています。制度の全体像は給付付き税額控除とは?いつから・誰がいくらで整理しています。
知っておきたい3つの注意点
1. 2年後に税率は8%へ戻る
これは2年間の期間限定です。2029年春に8%へ戻ると、食料品の価格は税率だけを見れば約7%上がることになります。
ただし「減税が終わって終わり」という設計ではありません。閣議決定には「消費税減税の終了時に『所得に応じたきめ細かな給付』に円滑に接続するために必要な措置を講ずる」と書かれています。税率が戻るのと入れ替わりに、本体の給付制度が令和11年度から始まる想定です。
とはいえ、給付の対象になるかどうかは所得によります。給付の対象から外れる世帯にとっては、2年後は単純な値上げとして効いてきます。浮いたお金は生活費に溶かさず、貯蓄や備えに回しておくと、反動を受け止めやすくなります。
2. 値札がそのまま下がるとは限らない
税率が下がっても、店側が本体価格を上げれば、店頭の値段は思ったほど下がらないこともあります。物価上昇が続いている局面では、減税分が値上げで相殺される可能性がある点は頭に入れておきましょう。
3. 財源はまだ決まっていない
食料品の税率引き下げは、年4兆円規模の税収減になるとの試算があります(NRI 木内登英氏の試算)。この穴をどう埋めるかは決まっておらず、将来ほかの税や社会保険料という形で家計に戻ってくる可能性も否定はできません。
閣議決定でも、本体の給付制度について「一時財源ではなく恒久財源を確保する必要がある」とされ、具体策は今後の検討に委ねられています。給付の金額や対象になる所得の水準も、この財源の議論と併せて決めるとされているため、現時点で「自分がいくらもらえるか」は決まっていません。
まとめ
- 食料品の消費税は2027年4月から2年間、8%→1%になる方針(法律は未成立)
- 安くなるのは税込価格の約6.48%。月5万円の食費で年約3.9万円
- 外食・酒類・日用品は対象外。レシートの一部だけが安くなる
- 2年後に8%へ戻るため、浮いた分は貯蓄に回すのが安全
あわせて使ってみたいツール
- この制度で家計がいくら軽くなるか → 食品税率 負担シミュレーター
- 家計全体のバランスを確認したい → 家計バランス診断
- 固定費の見直し余地を探したい → 固定費詳細診断ツール
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よくある質問(FAQ)
Q. 食料品の消費税1%はいつから始まりますか?
A. 2027年(令和9年)4月からの予定で、期間は2年間の時限措置です。2026年7月30日に高市首相が方針を表明しましたが、法律はまだ成立しておらず、秋の臨時国会に法案が提出される見通しです。開始が1年以上先なのは、レジや会計システムの改修に時間がかかるためです。
Q. 食料品の消費税1%で、家計はいくら安くなりますか?
A. 安くなるのは税込価格の約6.48%です。月の食費が3万円なら年約23,300円、5万円なら年約38,900円、7.6万円(4人世帯の目安)なら年約59,100円の軽減になります。ただし食費のうちお酒や日用品は対象外のため、実際の軽減額はこれより小さくなります。
Q. 外食や酒類も1%になりますか?
A. いいえ、外食と酒類は対象外で10%のまま変わりません。対象になるのは現在の軽減税率8%が適用されている飲食料品で、スーパーやコンビニで買う食料品・飲料が中心です。テイクアウトや宅配は対象になる見通しですが、詳細は調整中です。洗剤やティッシュなどの日用品も10%のままです。
Q. 「8%から1%だから7%安くなる」ではないのですか?
A. はい、正確には約6.48%です。消費税は税抜価格にかかるため、いま支払っている税込価格を基準にすると値下がり幅は7%より小さくなります。たとえば税込10,800円(税抜10,000円)の食料品は、税率1%なら税込10,100円となり、安くなるのは700円=税込価格の約6.48%です。
Q. 2年後に税率が戻ると、どうなりますか?
A. 2029年春に8%へ戻ると、食料品の価格は実質的に約7%上がることになります。減税期間中に生活水準を上げてしまうと、戻ったときの負担感が大きくなります。浮いたお金は生活費に組み込まず、貯蓄や将来の備えに回しておくと、税率が戻ったときの影響を受け止めやすくなります。
参考・出典
- 財務省:消費税に関する資料
- 国税庁:消費税の軽減税率制度
- 内閣官房:「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針(令和8年8月5日 閣議決定・PDF)
- 首相官邸:基本方針の閣議決定についての会見(2026年8月5日)
本記事は情報提供を目的とした一般的な解説です。制度は国会審議により内容・時期が変わる可能性があります。最新情報は財務省・国税庁の公式発表をご確認ください。


