※本記事は2026年6月時点の情報に基づく一般的な情報提供です。成年後見・家族信託などの制度は手続きや費用が複雑で、ご家庭の状況により最適な方法は異なります。実際の利用は司法書士・弁護士・金融機関などの専門家にご相談ください。
・親の介護費用はいくら?では介護にかかる「お金」を解説
・実家を相続したらどうする?では相続「後」の実家の扱いを解説
・本記事は「親が元気なうちに、何を話し・何を備えておくか」に特化し、認知症による資産凍結を防ぐ準備とチェックリストを整理します
帰省は、離れて暮らす親と顔を合わせる貴重な機会です。元気な姿を見ると安心する一方で、「お金や将来のことを、そろそろ話しておいたほうがいいのでは」と感じる人も増えています。この記事では、なぜ「元気なうち」が大切なのか、何を確認しておけばいいのか、そして角が立たない話の切り出し方を整理します。
なぜ「元気なうち」が大切?──認知症と口座凍結
最大の理由は、親が認知症などで判断能力を失うと、本人の銀行口座が事実上「凍結」されることです。金融機関が本人の判断能力低下を把握すると、不正な引き出しを防ぐために、本人以外はもちろん、家族でも預金を引き出せなくなります。代理人カードも使えなくなります。
・親の介護費用・施設の入居費を、親自身の預金から払えない(子が立て替えることに)
・実家の固定資産税や生活費の引き落としが滞る
・定期預金の解約や、不動産の売却ができない
解除するには、原則として家庭裁判所で成年後見人を選んでもらう手続きが必要になり、時間も費用もかかります。
つまり「親の財産は親のもの」だからこそ、判断能力があるうちに、家族で備えと意思の共有をしておくことが、いざというときの安心につながります。
帰省のときに確認しておきたい5つのこと
一度に全部聞き出す必要はありません。世間話の延長で、少しずつ確認していきましょう。
| 確認すること | ポイント |
|---|---|
| ① 資産のおおまかな全体像 | どの銀行・証券にあるか。金額の詳細まで聞かなくても「どこにあるか」が分かれば十分 |
| ② 年金・保険の内容 | 受給している年金、加入している生命保険・医療保険の証券の保管場所 |
| ③ 医療・介護の希望 | どこで・どんな介護を受けたいか。かかりつけ医や持病・常用薬 |
| ④ デジタル情報の所在 | ネット銀行・ネット証券・サブスク・スマホのありか(パスワードは本人管理のまま、存在だけ把握) |
| ⑤ 相談先・キーパーソン | 付き合いのある税理士・司法書士、頼れる親族など、いざというときの連絡先 |
これらはエンディングノートにまとめてもらうと整理しやすくなります。市販のもののほか、自治体が無料で配布している場合もあります。「縁起でもない」と捉えられないよう、「自分(子)の側も書いてみるから、一緒にやらない?」と誘うのがコツです。
資産凍結を防ぐ3つの備え
判断能力があるうちにしか使えない制度もあります。代表的な3つを整理します。いずれも専門的な判断が必要なので、検討する場合は司法書士・弁護士に相談しましょう。
| 備え | 特徴 | いつ準備 |
|---|---|---|
| 任意後見 | 将来に備え、自分で後見人を事前に決めておく契約。判断能力が低下したら開始 | 元気なうち |
| 家族信託 | 財産の管理・処分を、信頼する家族に任せる仕組み。比較的柔軟に管理できる | 元気なうち |
| 法定後見 | 判断能力が低下した後に、家庭裁判所が後見人を選ぶ。凍結後の主な対処法 | 低下後でも可 |
注意したいのが法定後見の負担です。家庭裁判所が弁護士などの専門家を後見人に選ぶと、月額2万〜6万円程度の報酬が、本人が亡くなるまで発生し続けることがあります。実際、後見人の多くは親族以外の専門家が選ばれています。だからこそ、選択肢の多い「元気なうち」の任意後見・家族信託の検討に価値があります。
角が立たない、話の切り出し方
- 季節の節目を使う:「お盆だし」「年金の話をニュースで見て」など、自然なきっかけに乗せる
- 自分ごととして話す:「自分も保険を見直してて」「エンディングノート書いてみたんだ」と、子側の話から入る
- お金を“管理”ではなく“守る”話に:「使い込みたいわけじゃなく、いざというとき困らないように」と目的を伝える
- 一度で完結させない:嫌がられたら引く。次の帰省でまた少しだけ、を繰り返す
やってはいけないこと
・本人不在で方針を決める:あくまで主役は親本人。意思を確認しながら進める
・きょうだいに共有しない:一人で抱えると、いざというとき情報も負担も偏る。早めに共有を
よくある誤解
誤解1:家族なら親の口座からいつでも引き出せる
判断能力が低下し金融機関が把握すると、家族でも引き出せなくなります(口座凍結)。代理人カードも使えません。元気なうちの備えが必要です。
誤解2:成年後見を使えばすぐ解決する
法定後見は手続きに時間がかかり、専門家が後見人になると月数万円の報酬が本人の死亡まで続くことがあります。「重い」制度である点を理解した上で検討しましょう。
誤解3:資産が少ないなら何もしなくていい
金額の多寡にかかわらず、生活費や介護費を本人の口座から出せなくなると家族が立て替えに困ります。少額でも「どこに何があるか」の共有は有効です。
誤解4:エンディングノートに法的な効力がある
エンディングノートは情報共有・意思表示のためのもので、遺言のような法的効力はありません。財産の承継を法的に定めたい場合は、別途「遺言書」が必要です。
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よくある質問(FAQ)
Q. 親が認知症になると、家族でも口座からお金を引き出せなくなりますか?
A. はい。金融機関が本人の判断能力低下を把握すると、不正引き出し防止のため口座が事実上凍結され、家族でも引き出せなくなります。代理人カードも使えなくなります。解除には原則として家庭裁判所で成年後見人を選任する手続きが必要です。これを避けるため、判断能力があるうちに任意後見契約や家族信託を検討しておくと安心です。
Q. 帰省のときに親と何を確認しておけばいいですか?
A. 一度に全部聞く必要はありません。①資産のおおまかな所在(どの銀行・証券か)、②年金・保険の内容と証券の保管場所、③医療・介護の希望、④ネット銀行などデジタル情報の所在、⑤相談先・キーパーソンの5つを、世間話の延長で少しずつ確認しましょう。エンディングノートにまとめてもらうと整理しやすくなります。
Q. 成年後見制度を使えばすべて解決しますか?
A. 万能ではありません。判断能力が低下した後に使う法定後見は、家庭裁判所が後見人を選び、専門家が選任されると月額2万〜6万円程度の報酬が本人の死亡まで発生し続けることがあります。手続きにも時間がかかります。選択肢が多く柔軟なのは、元気なうちに準備する任意後見や家族信託です。検討時は司法書士・弁護士に相談しましょう。
Q. お金の話を切り出すと嫌がられそうです。コツはありますか?
A. 季節の節目(お盆・年末など)を自然なきっかけにする、「自分も保険を見直してて」と子側の話から入る、「管理ではなく、いざというとき困らないために守りたい」と目的を伝える、の3点が有効です。一度で完結させようとせず、嫌がられたら引いて、次の帰省でまた少しだけ、を繰り返すと進めやすくなります。
公的機関の情報
※本記事は情報提供を目的とした一般的な解説です。成年後見・家族信託・相続は専門性が高く、ご家庭ごとに最適な方法が異なります。具体的な手続き・費用は司法書士・弁護士・金融機関・お住まいの自治体にご確認ください。


