※本記事は2026年9月時点の情報です。対応状況やソフトの公開時期は変わることがあるため、最新情報は記事末尾の国税庁リンクからご確認ください。
まず結論:3行でわかる要点
- 控除証明書(保険料などの控除を受けるための証明書)はハガキではなくデータで受け取れる。なくしても再交付の依頼がいらない
- いちばんわかりにくいのは「民間送達サービス」(証明書を受け取るネット上の自分専用のポスト)の開設。ここを越えれば、翌年からは登録し直さなくてよい
- 国民年金保険料の証明書だけは10月中旬までの準備が要る。過ぎると別の手続きになる
10月になると、保険会社からハガキが届きはじめます。生命保険料控除証明書。年末調整の紙に貼るか添えるかして提出するあれです。
毎年これを探す時間が発生します。引き出しをひっくり返して、1枚足りないことに気づいて、再交付を依頼して。この作業そのものをなくす方法が用意されています。
マイナポータル連携です。国税庁は従業員側のメリットとして「控除額等の記入・手計算が不要」「控除証明書等データを紛失しても再交付依頼が不要」を挙げています。
ただ、準備の段取りが少し独特です。この記事では、どこでつまずくのか、10月に何をしておくべきかを順に整理します。
サイト内の関連記事との違い
・年末調整の書き方完全ガイド ── 申告書3枚の書き方と控除の中身を扱っています
・マイナンバーカードでできるお金の手続き5選 ── 保険証・公金受取口座・確定申告の自動入力など全体像を扱っています
・この記事 ── 年末調整に絞って、証明書をデータで受け取るための段取りと10月の期限を扱います
データで受け取れる証明書は、この範囲
国税庁が示している、マイナポータル連携で一括取得して申告書に自動入力できる控除証明書等は次のとおりです。
| 作成する申告書 | 対象になる証明書 | 注意点 |
|---|---|---|
| 保険料控除申告書 | 生命保険料控除証明書 | 契約先がマイナポータル連携に対応していることが必要 |
| 地震保険料控除証明書 | ||
| 社会保険料控除証明書 (国民年金保険料) |
発行年の10月中旬までにマイナポータルからねんきんネットを利用しておく必要がある | |
| 社会保険料控除証明書 (国民年金基金掛金) |
取得できる時期は発行主体によって違う | |
| 小規模企業共済等掛金控除証明書 | 小規模企業共済掛金とiDeCoに限る | |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 年末残高等証明書 | 金融機関が対応していることが必要 |
| 住宅借入金等控除証明書 | データでの交付を希望した人に限る。例年10月下旬頃から取得できる |
前提として、契約している保険会社や金融機関がマイナポータル連携に対応していることが必要です。国税庁が「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」を公表しているので、自分の契約先が載っているかを先に見ておくと無駄がありません。
いちばんの関門は「民間送達サービス」
ここが、説明を読んでも引っかかりやすいところです。マイナポータルから直接、保険会社のデータが取れるわけではありません。あいだに「民間送達サービス」というものがはさまります。
国税庁の説明では、民間送達サービスとは「インターネット上に自分専用のポストを作り、自分宛のメッセージやレターを受け取ることができるサービス」です。受取人があらかじめ本人確認をして、差出人を登録しておく。そこへ保険会社が証明書データを届ける、という流れになります。

始める前に、2つ確認しておきます。
- 勤務先がどの方法で年末調整をするか:国税庁の年調ソフト、会社独自のシステム、紙のどれか。紙で回収する会社でも、証明書をデータで受け取っておくことはできます(後の「勤務先が電子化していない場合はどうなる」を参照)
- 契約先が対応しているか、どの民間送達サービスを使うか:国税庁の「発行主体一覧」で、取得したい会社の行に、対応する民間送達サービスが書かれています。そのサービスを開設します
準備は4ステップ(初回のみ)
① 必要なものを用意する
マイナンバーカードと、カード読み取り対応のスマートフォン(またはICカードリーダライタ)。
② マイナポータルに利用者登録する
マイナポータルにアクセスして利用者登録をします。
③ マイナポータルと民間送達サービスを連携する
マイナポータルの「もっとつながる」機能から、民間送達サービスのアカウントを開設します。
④ 保険会社等に、その民間送達サービスのアカウントを登録する
契約先のサイトで証券番号(保険契約ごとの番号)などを入力し、証明書データが自分のポストに届くように設定します。
国税庁は「③から④の登録手続等は、翌年以降は不要です」としています。面倒なのは初年度だけです。
10月に期限があるもの
この記事をいま読んでいる意味があるのは、ここです。国民年金保険料の証明書は、10月中旬の期限を過ぎると手順が変わります。住宅ローンの証明書と年調ソフトも、10月に動きがあります。
国民年金保険料の控除証明書:10月中旬まで
対象になるのは、国民年金保険料を自分で払った年がある人です。転職の合間に国民年金を納めた、学生時代の追納をした、配偶者の分を払った、といったケースが当てはまります。会社員で厚生年金だけの人には関係のない部分です。
国税庁ははっきり書いています。「控除証明書データを受け取るには、発行年の10月中旬までにマイナポータルからねんきんネットを利用しておく必要があります」。
間に合わなかった場合は、ねんきんネットで再交付の申請を行うことになります。さらに翌年以降もデータで受け取りたいなら、ねんきんネットで電子送付の登録手続が必要です。
住宅ローンの控除証明書:例年10月下旬頃から
住宅借入金等控除証明書はデータでの交付を希望した人に限り、例年10月下旬頃から取得できるとされています。希望していなければ紙で届くので、そこは確認が要ります。
国税庁の「年調ソフト」:例年10月中旬に正式版
国税庁は年末調整の申告書を作るソフト(通称年調ソフト)を無償で公開しています。令和8年分は令和8年8月7日にプロトタイプ版が公開されており、正式版は例年10月中旬に出ています(令和7年分は令和7年10月15日公開)。
会社が独自のシステムを使っている場合はそちらを使うことになるので、まずは勤務先がどの方法で年末調整をするのかを確認するのが先です。
配偶者名義の保険も、代理人設定で取れる
生計を一にする(生活費を共通にしている)配偶者が契約者になっている生命保険料は、法律上の要件を満たしていれば自分の控除に入れられます。その証明書データも、マイナポータル連携で取得できます。
ここでは、申告する自分を「代理人」、証明書を取りたい配偶者を「被代理人」と呼びます。国税庁が示している手順はこうです。
- 配偶者のマイナンバーカードでマイナポータルにログインし、自分を「代理人」として設定する
- 申告書の作成中にマイナポータル連携を実行すると、自分の分か被代理人(配偶者)の分かを選ぶ画面が出る
- 被代理人を選び、自分のマイナンバーカードをかざして配偶者の証明書データを取得する
- もう一度マイナポータル連携を起動し、今度は自分の分を取得する
代理人の登録には申告する人と家族の両方のマイナンバーカードが必要です。家族の分をまとめたい場合は、カードが手元にあるうちに設定しておくのが確実です。
勤務先が電子化していない場合はどうなる
ここは正直に書いておきます。年末調整の申告書をデータで提出できるかどうかは、勤務先が電子化に対応しているかで決まります。会社が紙で回収している以上、従業員だけで完結させることはできません。
ただし、証明書をデータで受け取っておくこと自体は無駄になりません。
- 年調ソフトで作った申告書は紙に印刷して出すこともできる(控除額は自動計算される)
- ハガキを紛失しても再交付を依頼せずに済む
- 医療費控除やふるさと納税で確定申告をする年にも、同じデータが使える
確定申告側の自動入力についてはマイナンバーカードでできるお金の手続き5選で整理しています。
マイナンバーは使われない
よくある不安について、国税庁は次のように答えています。「マイナポータル連携に当たっては、マイナンバーカードの情報を利用して控除証明書等データを取得しますが、マイナンバーそのものを利用するわけではありませんので、マイナンバー流出のおそれはありません」。
使うのはカードに入っている電子証明書で、番号そのものではない、という説明です。
順番としては、こうなる
- まず勤務先が年末調整を電子化しているかを確認する
- 国税庁の発行主体一覧で、契約している保険会社・金融機関が対応しているか見る
- マイナポータルを開設し、「もっとつながる」から民間送達サービスを開設する
- 保険会社等のサイトで、そのアカウントを登録する
- 国民年金を自分で払った年がある人は、10月中旬までにマイナポータルからねんきんネットを利用しておく
- 配偶者名義の保険がある場合は、代理人の登録を済ませておく
モリガマがちょうどいいものを持ってきてくれました。

年末調整でいちばん金額が大きく動くのは住宅ローン控除です。年末残高等証明書もマイナポータル連携の対象なので、いくら戻る見込みなのかを先に確認しておくと、書類を集める優先順位がつけやすくなります。
まとめ
- 控除証明書はデータで受け取れる。国税庁は「紛失しても再交付依頼が不要」としている
- 対象の証明書は冒頭の表のとおり。住宅ローン関係は、年末残高等証明書と住宅借入金等控除証明書の2種類
- 前提として契約先が対応していること。国税庁の発行主体一覧で確認できる
- 準備の関門は民間送達サービスの開設。マイナポータルの「もっとつながる」から入る
- 初年度だけの手続き。翌年以降は登録不要と国税庁が明記している
- 国民年金保険料の証明書は10月中旬までの準備が必要。過ぎたら再交付の申請になる
- 配偶者名義の保険は代理人設定で取得できる。両方のカードが要る
- 勤務先が紙でも、データで受け取ること自体は無駄にならない
よくある質問(FAQ)
Q. マイナポータル連携で、どの控除証明書がデータで受け取れますか?
A. 生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、社会保険料控除証明書(国民年金保険料・国民年金基金掛金)、小規模企業共済等掛金控除証明書(小規模企業共済掛金とiDeCoに限る)、住宅ローンの年末残高等証明書と住宅借入金等控除証明書です。いずれも発行主体がマイナポータル連携に対応していることが必要です。
Q. 民間送達サービスとは何ですか?
A. 国税庁は「インターネット上に自分専用のポストを作り、自分宛のメッセージやレターを受け取ることができるサービス」と説明しています。マイナポータルの「もっとつながる」機能からアカウントを開設し、保険会社等にそのアカウントを登録すると、証明書データがそのポストに届くようになります。どのサービスを選ぶかは、国税庁が公表している発行主体一覧で契約先の欄を確認します。
Q. 毎年この準備をしないといけませんか?
A. いいえ。国税庁は、マイナポータルと民間送達サービスの連携、および保険会社等へのアカウント登録について「翌年以降は不要です」としています。手間がかかるのは初年度だけで、2年目からはマイナポータル連携を実行するだけでデータを一括取得できます。
Q. 国民年金保険料の控除証明書だけ扱いが違うと聞きました。
A. データを受け取るには、発行年の10月中旬までにマイナポータルからねんきんネットを利用しておく必要があります。間に合わなかった場合はねんきんネットで再交付の申請を行うことになります。翌年以降もデータで受け取るには、ねんきんネットで電子送付の登録手続が必要です。
Q. 配偶者名義の生命保険の証明書も取得できますか?
A. できます。配偶者のマイナンバーカードでマイナポータルにログインし、自分を代理人として設定します。その後、申告書の作成中にマイナポータル連携を実行すると自分の分か配偶者の分かを選べるので、配偶者の分を取得してから、もう一度起動して自分の分を取得します。代理人の登録には申告する人と家族の両方のマイナンバーカードが必要です。
Q. 勤務先が紙で年末調整をしている場合、意味はありますか?
A. 申告書をデータで提出できるかは勤務先の対応によりますが、証明書をデータで受け取ること自体は無駄になりません。国税庁の年調ソフトで作った申告書は紙に印刷して提出でき、控除額は自動計算されます。またハガキを紛失しても再交付を依頼せずに済み、医療費控除などで確定申告をする年にも同じデータが使えます。
Q. マイナンバーが流出する心配はありませんか?
A. 国税庁は「マイナンバーカードの情報を利用して控除証明書等データを取得しますが、マイナンバーそのものを利用するわけではありませんので、マイナンバー流出のおそれはありません」としています。使われるのはカードに搭載された電子証明書で、番号そのものではありません。
参考・出典
- 国税庁「マイナポータルと連携した年末調整手続」 — 対象になる控除証明書の一覧、国民年金の10月中旬の期限、事前準備、家族の分の取得
- 国税庁「マイナポータルを活用した年末調整手続について(よくある質問)」 — 民間送達サービスの説明、準備の4ステップ、代理人設定の手順、マイナンバーの取扱い
- 国税庁「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」 — 契約先が対応しているかの確認
- 国税庁「年末調整手続の電子化に向けた取組について」 — 年調ソフトの公開時期とヘルプデスク
- 国税庁「年末調整手続の電子化について」 — 電子化のメリット(従業員側・勤務先側)
※対応状況は保険会社・金融機関によって異なります。具体的な登録方法は各社および民間送達サービス事業者のご案内をご確認ください。

