このツールでできること
退職時の給料・前年の年収・家族構成・離職理由を入力するだけで、退職後の健康保険3択(任意継続・国民健康保険・家族の扶養)の保険料を概算で比較できます。どれが一番安いかが一目でわかります。
退職後に選べる3つの健康保険
会社を辞めると、それまで加入していた健康保険の資格は退職日の翌日に失われます。日本は国民皆保険なので、空白期間をつくらずに次のいずれかへ移る必要があります。選択肢は次の3つです。
| 選択肢 | 保険料の決まり方 | 手続きの期限 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 任意継続 | 退職時の標準報酬月額(上限あり)に保険料率をかける。会社負担がなくなり全額自己負担 | 退職日の翌日から20日以内 | 前年の所得が高く、国保だと高くなる人 |
| 国民健康保険 | 前年の所得をもとに市区町村が計算。世帯の人数分の均等割が加わる | 退職日の翌日から14日以内 | 単身の人、前年の所得が低い人、会社都合で辞めた人 |
| 家族の扶養 | 保険料は0円(家族の保険料も増えません) | 速やかに(家族の勤務先経由) | 収入の見込みが基準内におさまる人 |
迷いやすいのは「任意継続と国保のどちらが安いか」です。この2つは保険料の決まり方がまったく違うため、条件によって答えが入れ替わります。上のシミュレーターは、その2つを同じ条件で並べて比べるためのものです。
このツールの計算の前提
結果は概算です。どんな数字を使っているかを開示しておきます。
任意継続の保険料
「退職時の標準報酬月額」と「協会けんぽ全体の平均標準報酬月額(30万円)」の低いほうに、保険料率をかけて計算しています。在職中は会社と折半していた分がなくなるため、負担はおおむね2倍になります。
- 健康保険料率:9.85%(令和8年度・東京都)
- 介護保険料率:1.62%(40歳以上65歳未満のみ加算・全国一律)
国民健康保険料
前年の給与所得から基礎控除43万円を引いた額に所得割の料率をかけ、世帯人数分の均等割を足しています。市区町村ごとの差が大きいため、全国的に標準的な水準を用いた概算です。
- 所得割:9.7%(40歳以上65歳未満は介護分2.4%を加算)
- 均等割:1人あたり年3.8万円(40歳以上65歳未満は5万円)
- 賦課限度額:年96万円(40歳以上65歳未満は介護分を含め113万円)
- 会社都合の離職の場合、前年の給与所得を30%とみなして計算
出典:協会けんぽ「令和8年度保険料額表」、厚生労働省。賦課限度額は令和8年度から、子ども・子育て支援納付金分(3万円)の新設により109万円から113万円へ引き上げられました。
結果を見るときの注意点
国保の金額は住む場所で変わります
国民健康保険の料率・均等割・軽減の仕組みは市区町村ごとに定められています。同じ収入でも自治体が違えば年間で数万円の差が出ることがあります。実際に決める前に、必ずお住まいの市区町村の窓口かウェブサイトで試算してください。
2年目に逆転することがあります
任意継続の保険料は加入中ほぼ変わりませんが、国保は前年の所得で毎年計算し直されます。退職1年目は在職中の所得で国保が高くなりがちでも、収入が減った2年目には国保のほうが安くなることがよくあります。1年目だけの比較で決めないほうが安全です。
健康保険組合の場合は上限が違います
このツールは協会けんぽを前提にしています。勤務先が健康保険組合だった場合、任意継続の保険料の上限や料率は組合ごとに異なります。組合の担当窓口でご確認ください。
よくある質問
任意継続と国民健康保険は、どちらが安いですか?
条件によって逆転するため、一概には言えません。前年の所得が高い人は国保が高くなりやすいので任意継続が有利になりがちです。逆に、単身の人や前年の所得がそれほど高くない人は国保のほうが安くなる傾向があります。国保には世帯人数分の均等割がかかるのに対し、任意継続では扶養家族が何人いても保険料は変わらないため、扶養する家族が多いほど任意継続が有利になります。
任意継続の手続きはいつまでにすればいいですか?
退職日の翌日から20日以内です。この期限を過ぎると、原則として任意継続には加入できません。国民健康保険の届出期限は14日以内です。どちらを選ぶか迷っている時間はあまりないため、退職前に試算しておくことをおすすめします。
失業給付をもらいながら家族の扶養に入れますか?
基本手当の日額が3,612円以上の場合、受給している期間は扶養に入れないのが一般的です。扶養の収入基準である年130万円を日額に換算すると3,611円ほどになり、これを超える見込みと判断されるためです。この場合、受給期間中だけ任意継続または国民健康保険に加入し、受給が終わってから扶養に入るという方法があります。基準は加入先の保険者によって運用が異なるため、家族の勤務先を通じて確認してください。
会社都合で退職した場合、国民健康保険は安くなりますか?
安くなる場合があります。倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者)や、雇止めなど一定の理由による離職(特定理由離職者)に該当すると、保険料の計算上、前年の給与所得を30%とみなす軽減措置を受けられます。対象になるかどうかは雇用保険受給資格者証の離職理由コードで判断されるため、市区町村の窓口に受給資格者証を持参して相談してください。
任意継続は途中でやめられますか?
やめられます。2022年1月の制度改正により、本人の申し出による任意脱退ができるようになりました。以前は保険料の未納や就職といった限られた事由でしか脱退できませんでしたが、現在は「国保のほうが安くなったので切り替えたい」という理由でも脱退が可能です。なお任意継続に加入できる期間は最長2年間です。


