※本記事は2026年9月時点の情報です。内容は令和8年度税制改正の大綱にもとづきます。実際の運用の細部は今後の法令・金融機関の対応で変わる場合があります。
まず結論:3行でわかる要点
- 新しい制度が作られるのではない。つみたて投資枠の年齢要件が撤廃される
- 0〜17歳は年間60万円・非課税保有限度額600万円。18歳で自動的に大人の枠へ移る
- 引き出せるのは12歳以降。しかも子ども本人の同意が要る
※本記事では便宜上「こどもNISA」と呼んでいます。正式名称は制度開始時に確定予定です。
そもそも「こどもNISA」という制度は作られない
最初に、いちばん誤解されやすいところを整理します。
2027年から始まるのは、こどもNISAという名前の新しい制度ではありません。いまの新NISAにある「つみたて投資枠」の年齢要件が撤廃される、という改正です。金融庁の資料には、こう書かれています。
つみたて投資枠の年齢要件を撤廃し、0〜17歳の間の年間投資枠及び非課税保有限度額を設定する。
金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」より
この違いは、細かい言葉づかいの問題ではありません。制度の設計がここから決まっています。
- つみたて投資枠の拡張なので、買えるのはつみたて投資枠の対象商品だけ。個別株は入っていない
- 同じ枠の続きなので、18歳になったら自動的に大人の枠(年120万円・限度額1,800万円)へ移る。手続きも移管も要らない
- 旧ジュニアNISAのように別制度として終了する心配がない
旧ジュニアNISAが使いにくかった原因の多くは、「本体とは別の制度」だったことにあります。そこが構造から変わった、というのが今回のいちばん大きな点です。
なぜ今の設計になったのか|旧ジュニアNISAの反省点
旧ジュニアNISA(2016〜2023年)は、「18歳まで原則引き出せない」という制約が使いにくいと不評で、口座数は伸び悩みました。2023年末で新規口座の開設は終了しています。
こどもNISAの5つのポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間投資枠 | 60万円 |
| 生涯投資枠 | 600万円 |
| 対象商品 | つみたて投資枠のみ(長期・積立・分散に適した投資信託) |
| 引き出し | 12歳以降、子の同意を得た場合にのみ親権者等が払出し可 |
| 18歳以降 | 年120万円・限度額1,800万円の枠へ自動的に移行 |
対象年齢は0歳から17歳まで。親や祖父母が代わりに口座を管理し、子ども名義で積み立てる形になります。
非課税期間は無期限。旧ジュニアNISAが5年間だったのに比べて、大きく改善されています。
子どもの年齢と積立額から、18歳時点の資産額と非課税メリットを試算できます
ユキが試してみた
引き出しには「子どもの同意」が要る
旧ジュニアNISAは18歳まで原則引き出せませんでした。今回は12歳以降に引き出せますが、親の一存ではできません。金融庁の資料では、必要な手続きがこう定められています。
資金の使途が子のためのものであり、子が払出しに同意したことを示す書面とともに、親権者等(口座管理者)が申出書を金融機関に提出する。
金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」より
つまり必要なのは3つです。使いみちが子どものためであること、子ども本人が同意した書面、そして親権者が出す申出書。
親の生活費や、親自身の投資の穴埋めには使えない設計になっています。名義は子どものものだという原則を、手続きの側から守るしくみです。12歳未満は引き出せません。
旧ジュニアNISAとの違い
| 項目 | こどもNISA | 旧ジュニアNISA |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 60万円 | 80万円 |
| 生涯投資枠 | 600万円 | 400万円(80万×5年) |
| 対象商品 | つみたて枠のみ | 上場株式・投資信託等 |
| 引き出し | 12歳以上で条件付き可 | 18歳まで原則不可 |
| 非課税期間 | 無期限 | 5年(ロールオーバー可) |
| 18歳以降 | 新NISAへ移行可 | 課税口座へ払出 |
贈与税はかかるの?
ただし、毎年定額を贈与し続ける「定期贈与」とみなされると課税対象になる場合があります。心配な方は税理士に相談してみてください。
こどもNISAのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 運用益が非課税(通常は約20%課税) | 投資なので元本割れのリスクがある |
| 教育資金を長期で計画的に準備できる | 12歳未満では引き出しに制限がある |
| 子どもが金融リテラシーに触れるきっかけになる | つみたて投資枠のみで個別株は購入できない |
| 18歳で大人の枠へ自動的に移行し、運用を続けられる | 制度の詳細が今後変更される可能性がある |
開始までにやっておくこと
子ども名義の証券口座は開設に時間がかかる場合があります。制度開始前に、利用する金融機関の対応状況をチェックしておくとスムーズです。
2. 家族で投資方針を話し合う
月いくら積み立てるか、誰が拠出するか(親・祖父母)、教育資金との兼ね合いをどうするか。家族で方針を決めておきましょう。
3. 制度の続報をチェック
制度の詳細(口座開設の手続き、対象商品のラインナップなど)は今後発表される予定です。金融庁や利用予定の金融機関の情報を確認しておきましょう。
関連ツール・記事
- → こどもNISA積立シミュレーター(18歳時点の資産額を試算したい人に)
- → 教育資金シミュレーター(教育費全体の見通しを立てたい人に)
- → 学資保険とNISA、どっちで貯める?(積み立て先を比べたい人に)
- → 高校の授業料は本当に無償?就学支援金と奨学給付金(必要額を見直したい人に)
- → 子育て費用はいくら?出産から大学までの総額(全体像をつかみたい人に)
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な判断はご自身でお願いします。
※「こどもNISA」は本記事での通称です。制度としては「つみたて投資枠の年齢要件の撤廃」であり、専用の名称は設けられていません。(2026年9月時点の情報に基づく)
参考情報・公的機関リンク
金融庁「令和8(2026)年度税制改正について — 税制改正大綱における金融庁関係の主要項目」(PDF)— 年齢要件の撤廃、0〜17歳の年間投資枠60万円・非課税保有限度額600万円、12歳以降の払出し要件の出典
このほか以下の公的機関の公表資料を参考に作成しています。最新情報・最新の制度内容は各公式サイトでご確認ください。
-
金融庁「NISA特設ウェブサイト」
— NISA制度の最新情報・対象商品など -
国税庁「相続税・贈与税」
— 贈与税・相続税の計算と特例 -
文部科学省「子どもの学習費調査」
— 幼稚園〜高校までの教育費統計
よくある質問
Q. こどもNISAはいつから始まりますか?
2027年(令和9年)からです。ただし「こどもNISA」という制度が新設されるのではなく、いまの新NISAのつみたて投資枠から年齢要件が撤廃されるという改正です。令和8年度税制改正の大綱で内容が決まっています。
Q. 旧ジュニアNISAとの違いは?
いちばん大きいのは、別制度ではなく新NISA本体の一部になる点です。そのため18歳になると年120万円・非課税保有限度額1,800万円の枠へ自動的に移行し、旧ジュニアNISAのように課税口座へ払い出されることがありません。引き出しも18歳まで原則不可から、12歳以降は条件つきで可能に変わります。一方で年間投資枠は80万円から60万円へ下がり、買えるのはつみたて投資枠の対象商品だけになります。
Q. 0〜17歳の投資枠はいくらですか?
年間投資枠が60万円、非課税保有限度額が600万円です。18歳以上は年間120万円・限度額1,800万円で、こちらへ自動的に移行します。
Q. 途中で引き出すことはできますか?
12歳以降であれば可能ですが、親の一存ではできません。資金の使途が子のためのものであり、子が払出しに同意したことを示す書面とともに、親権者等が申出書を金融機関に提出する必要があります。12歳未満は引き出せません。
Q. 教育費づくりに使えますか?
長期での教育資金づくりには向いています。ただし投資は値動きがあるため、使う時期が近い資金は預金などと組み合わせるのが安全です。また12歳未満は引き出せないので、小学校入学前後の出費に充てる用途には使えません。


