NISAの含み損は「普通のこと」
NISAで積み立てている投資信託が一時的にマイナスになることは、実はまったく珍しいことではありません。
たとえばS&P500指数は、過去数十年の間に何度も大きな下落を経験しています。
| 時期 | 出来事 | 最大下落率 |
|---|---|---|
| 2008年 | リーマンショック | 約-50% |
| 2020年 | コロナショック | 約-34% |
| 2022年 | 米利上げ・インフレ | 約-25% |
オルカン(全世界株式)も同様に、-20%〜-30%程度の下落は歴史的に何度も起きています。それでも長期では右肩上がりの成長を続けてきました。
NISAで損切りすべき3つのケース
基本的にNISAの含み損は焦って売る必要はありません。ただし、以下の3つのケースでは売却を検討してもよいでしょう。
1. 投資先そのものの方針が変わった
保有しているファンドが統合されたり、運用方針が大きく変更された場合です。たとえば、インデックスファンドだったものがアクティブ運用に変わった、信託報酬が大幅に引き上げられたなど、「最初に選んだ理由」がなくなった場合は乗り換えを検討する価値があります。
2. 自分のリスク許容度を超えている
含み損が気になって眠れない、仕事中も株価が頭から離れない——そんな状態になっているなら、投資額がリスク許容度を超えている可能性があります。無理を続けると、最悪のタイミングで感情的に売ってしまうことにつながります。
3. 生活資金が足りない
急な出費や収入減で生活費が不足している場合は、投資を取り崩す必要があります。これは「損切り」というよりも「生活防衛」です。生活基盤を守ることが最優先です。
NISAで損切りすべきでない3つのケース
反対に、以下のケースでは損切りしないほうがよい可能性が高いです。
1. 市場全体の一時的な下落
リーマンショックやコロナショックのような大きな下落でも、世界の株式市場は数年で回復してきました。インデックスファンドを積立投資している場合、一時的な下落は「安く買えるチャンス」でもあります。
2. 「みんな売ってるから」という同調圧力
SNSやニュースで「暴落」「売るべき」という声が大きくなると、自分も売らなきゃと感じてしまいがちです。しかし、周囲の行動に流されて売ることは、最も損をしやすいパターンのひとつです。
3. 値動きを見て感情的になっている
「もうこれ以上下がるのを見ていられない」という気持ちで売るのは、投資判断ではなく感情的な反応です。冷静になるまで待ち、数字と向き合ってから判断しましょう。
含み損の時にやるべきこと
含み損を抱えている時こそ、やるべきことがあります。
積立を続ける
価格が下がっている時に積立を続けると、同じ金額でより多くの口数を購入できます。これが「ドルコスト平均法」のメリットです。下落時に買い続けた分は、相場が回復した時に大きなリターンにつながります。
毎月同じ金額を積み立てることで、価格が高い時は少なく、安い時は多く購入します。結果として平均取得単価が平準化され、高値づかみのリスクを減らせます。
ポートフォリオの見直し
含み損をきっかけに、自分の資産配分を見直してみましょう。株式100%のポートフォリオで不安が大きいなら、債券を含むバランスファンドへの切り替えを検討するのもひとつの手です。
投資額が適切か確認
毎月の積立額が家計に対して大きすぎないか確認しましょう。生活費の6か月分以上の現金(生活防衛資金)を確保した上で、余裕資金で投資するのが基本です。
- 損益通算ができない:NISA口座の損失は、特定口座や一般口座の利益と相殺(損益通算)できません。NISAで損切りすると、損失がそのまま確定してしまいます。
- 非課税枠の無駄遣いに注意:売却すると非課税枠は翌年復活しますが、「損切りして買い直す」と、本来使わなくてよかった枠を消費することになります。
- 新NISAは非課税期間が無期限:2024年からの新NISAは非課税期間に制限がないため、「期限が来るから売らなきゃ」という焦りは不要です。時間を味方にできる制度設計になっています。
長期積立のシミュレーションをしてみよう
含み損で不安になった時こそ、長期で積立を続けた場合のシミュレーションをしてみましょう。「このまま続けたら将来どうなるか」を数字で確認すると、冷静な判断がしやすくなります。
まとめ
- NISAの含み損は珍しくない。S&P500やオルカンも過去に-20%〜-30%の下落を経験している
- 損切りすべきケースは「ファンドの方針変更」「リスク許容度超過」「生活資金不足」の3つ
- 市場全体の下落・同調圧力・感情的な判断での売却は避ける
- NISAは損益通算ができないため、損切りのデメリットが大きい
- 新NISAは非課税期間が無期限。時間を味方にできる
- 含み損の時は積立継続・ポートフォリオ見直し・投資額の再確認を
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。NISAの制度内容は2024年1月以降の新NISA制度に基づいています。最新の制度内容は金融庁の公式サイトでご確認ください。
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参考情報・公的機関リンク
本記事は以下の公的機関の公表資料を参考に作成しています。最新情報・最新の制度内容は各公式サイトでご確認ください。
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金融庁「NISA特設ウェブサイト」
— NISA制度の最新情報・対象商品など
よくある質問
Q. NISAで含み損が出たら損切りすべき?
多くの場合、長期投資なら一時的な含み損で慌てて売る必要はありません。市場は変動するもので、回復を待つのが基本です。
Q. NISAで損切りすべきケースは?
投資先のテーマが崩れた、より良い投資先に乗り換えたい、生活資金が必要になった、などのケースでは損切りも選択肢になります。
Q. NISAは損益通算できる?
できません。NISA口座の損失は、他の課税口座の利益と相殺(損益通算)できない点に注意が必要です。だからこそ長期で着実に育てる運用が向いています。



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