※本記事は2026年9月時点の情報です。住民税の納期や猶予の取り扱いは、お住まいの市区町村の条例により異なる場合があります。
まず結論:3行でわかる要点
- 住民税は前年の所得にかかる。退職して収入が止まっても、翌年に届く
- 辞めた月で扱いが変わる。1月から4月までの退職は、最後の給与から一括徴収と法律で決まっている
- 一度に払えないときは2つの猶予がある。延滞金も年9.1%から年1.3%に下がる
退職して、収入が止まる。そこへ6月、市区町村から納付書が届きます。金額を見て「なぜ今、これが来るのか」と戸惑う人は少なくありません。
住民税は、働いていた年の所得に対してかかります。納めるのはその翌年です。この1年のズレのせいで、いちばん収入が細っている時期に、いちばん高い請求が届くことになります。
この記事では、いつ・いくら届くのかと、どうしても払えないときに使える制度を整理します。
住民税は1年遅れで届く
住民税は、1月1日から12月31日までの所得をもとに計算され、その翌年の6月から納め始めます。給与から天引きされている人は、6月から翌年5月までの12回に分けて引かれています。
| 時期 | 起きていること |
|---|---|
| 2025年1月〜12月 | この1年の所得が、住民税の計算のもとになる |
| 2026年1月 | 勤め先が給与支払報告書を市区町村へ提出する |
| 2026年6月 | 税額が決まり、通知書や納付書が届く |
| 2026年6月〜2027年5月 | この期間に納める(給与天引きなら12回、納付書なら4回) |
2025年いっぱい働いて、2026年の春に退職したとします。2025年の所得に対する住民税は、2026年6月から2027年5月にかけて納めることになります。退職して無収入でも、この分は消えません。
退職した月で、残りの住民税の扱いが変わる
ここが見落とされがちなところです。辞めた月によって、残っている住民税の集め方が法律で分けられています。地方税法第321条の5第2項の定めです。
| 辞めた時期 | 残りの住民税はどうなるか | 本人の希望 |
|---|---|---|
| 1月1日〜4月30日 | 最後の給与や退職金から一括徴収される | 不要(法律で決まっている) |
| 5月1日〜5月31日 | 5月が年度の最後の月なので、残りがない | — |
| 6月1日〜12月31日 | 原則、納付書で自分で納める形(普通徴収)に切り替わる | 申し出れば一括徴収もできる |
※いずれも、5月31日までに支払われる給与や退職手当で、残っている税額をまかなえる場合に限られます。足りないときは、足りない分が納付書に回ります。
3月に辞める人が「最後の給料が思ったより少なかった」と感じるのは、たいていこれが理由です。1月から4月の退職では、残り数か月分の住民税がまとめて引かれます。手取りが数万円単位で変わることもあります。
翌年、いくら届くのか
金額のイメージを持っておくと、身構えやすくなります。前年の年収別に、1年分の住民税の目安を出しました。
| 前年の年収 | 独身の年額 | 4回に分けた1回分 | 夫婦+高校生1人の年額 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 116,400円 | 約29,100円 | 45,400円 |
| 350万円 | 143,800円 | 約36,000円 | 72,800円 |
| 400万円 | 175,300円 | 約43,800円 | 104,300円 |
| 500万円 | 240,300円 | 約60,100円 | 169,300円 |
| 600万円 | 305,300円 | 約76,300円 | 239,300円 |
| 700万円 | 374,200円 | 約93,600円 | 308,200円 |
※給与収入のみ、社会保険料は収入の約15%、他の控除はなしとした場合の目安です。所得割(課税所得の10%から調整控除を引いた額)と均等割5,000円の合計。実際の額は市区町村や控除の内容で変わります。
年収500万円だった人なら、1年分で約24万円。納付書は4回に分かれるので、1回あたり約6万円が、6月・8月・10月・翌年1月に届くイメージです。
この納期は地方税法第320条で「6月、8月、10月、1月のうち市区町村の条例で定める」とされています。自治体によって日付は違いますが、年4回という点はおおむね共通です。
均等割の5,000円という数字
所得に関係なくかかる部分です。内訳は市町村民税3,000円、道府県民税1,000円、そして森林環境税1,000円。森林環境税は国税ですが、2024年度から住民税の均等割と一緒に集められています。
払えないときに使える2つの猶予
収入がない時期に数十万円を求められて、どうにもならないことはあります。そのときに放置がいちばん高くつきます。地方税法には、申請すれば納付を待ってもらえる仕組みが2つ用意されています。
① 徴収猶予(地方税法第15条)
一度に納められないと認められるとき、1年以内の範囲で納付を待ってもらえる制度です。その期間内で分割して納めることもできます。やむを得ない理由があれば延長でき、合わせて2年までとされています。
要件は、災害や盗難にあったとき、本人や生計を一にする親族が病気やけがをしたとき、事業を廃止または休止したとき、事業で著しい損失を受けたとき、そしてこれらに類する事実があったときです。退職や失業は最後の項目として扱われるのが一般的で、多くの市区町村が相談先として案内しています。
② 換価の猶予(地方税法第15条の6)
一度に納めると生活の維持が難しくなるおそれがあり、かつ納める意思があると認められる場合に、財産の差押えや売却を1年以内待ってもらえる制度です。納期限から、市区町村の条例で定める期間内に申請する必要があります。
どちらも「申請」が要ります。黙っていて適用されるものではありません。そして、期限が来る前に相談するほど選択肢が残ります。
放置と相談で、延滞金がこれだけ違う
納期限を過ぎると延滞金がつきます。2026年(令和8年)の割合は次のとおりです。
| 状況 | 2026年の割合(年率) |
|---|---|
| 納期限の翌日から1か月以内 | 2.8% |
| 1か月を過ぎたあと | 9.1% |
| 猶予が認められた期間中 | 1.3% |
放っておけば年9.1%、申請して認められれば年1.3%。同じ「すぐには払えない」でも、役所に伝えたかどうかで7倍以上の差がつきます。これが相談する意味です。
なお、市区町村によっては失業や所得の大幅な減少を理由にした減免の制度を条例で定めている場合があります。猶予とは別枠なので、窓口で「減免の対象になりますか」と聞いてみる価値があります。
モリガマがちょうどいいものを持ってきてくれました。

6月に届く通知書は、どこを見れば何が分かるかを知っていると、金額の根拠まで追えます。
まとめ
- 住民税は前年の所得にかかる。退職しても、働いていた年の分は残る
- 1月から4月の退職は、最後の給与や退職金から一括徴収される(法律で決まっている)
- 5月の退職は残りがない。6月から12月は原則、納付書に切り替わる
- 先に引かれるか、あとで納めるかの違いで、総額は変わらない
- 納付書は年4回。年収500万円だった人で、1年分は約24万円が目安
- 払えないときは徴収猶予と換価の猶予。どちらも申請が要る
- 延滞金は放置で年9.1%、猶予中は年1.3%。期限前に相談するほど選択肢が残る
よくある質問(FAQ)
Q. 退職して収入がないのに、なぜ住民税が来るのですか?
A. 住民税は前年1月から12月までの所得に対して課税され、その翌年の6月から納める仕組みだからです。2025年に働いていた分の住民税は、2026年6月から2027年5月にかけて納めることになります。退職して収入がなくなっても、前年に得た所得に対する分は残ります。
Q. 退職した月によって、残りの住民税の扱いは変わりますか?
A. 変わります。1月1日から4月30日までに退職した場合は、本人の申し出がなくても最後の給与や退職金から一括徴収されると地方税法で定められています。5月中の退職は5月が年度の最後の月にあたるため残りがありません。6月1日から12月31日までの退職は原則として納付書で自分で納める形に切り替わり、希望すれば一括徴収も選べます。
Q. 納付書はいつ届いて、いつまでに払うのですか?
A. 通知書と納付書は6月ごろに届きます。納期は地方税法で6月、8月、10月、翌年1月のうち市区町村の条例で定めるとされており、年4回に分かれるのが一般的です。具体的な納期限は自治体によって異なるため、届いた納付書で確認してください。
Q. どうしても払えないときは、どうすればいいですか?
A. 市区町村の税務担当窓口に相談してください。地方税法には徴収猶予と換価の猶予という2つの制度があり、いずれも申請に基づいて1年以内の範囲で納付を待ってもらえます。徴収猶予では分割して納めることもできます。また自治体によっては、失業や所得の大幅な減少を理由とする減免を条例で定めている場合があります。
Q. 猶予を申請すると、延滞金はどうなりますか?
A. 大きく下がります。2026年の割合では、納期限の翌日から1か月以内が年2.8%、1か月を過ぎると年9.1%ですが、猶予が認められた期間中は年1.3%です。放置したまま滞納するのと、申請して認められるのとでは7倍以上の差がつきます。
参考・出典
※本記事は制度の一般的な説明です。個別の税額や猶予の可否は、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

