※本記事は2026年8月時点の情報です。給付額は協会けんぽの計算式にもとづく概算で、実際の金額は標準報酬月額や休んだ日数により異なります。
まず結論:3行でわかる要点
- 扶養に入っている間は、傷病手当金も出産手当金も受け取れない
- 自分で健康保険に入ると、休んだとき給与のおよそ3分の2が出る
- 産休中は保険料そのものが免除される。手当を受けながら負担はゼロ
扶養を抜けて社会保険に入ると、保険料が引かれて手取りが減ります。その代わりに何を得ているのか。将来の年金の話は3号から2号になったときの年金の記事で整理しました。
この記事で扱うのは、老後を待たずに使えるもののほうです。働けなくなったときに、生活費が出る仕組みがあります。
扶養のままでは使えなかったもの
健康保険には、医療費を3割にする以外の給付があります。ただしこれらは被保険者本人だけが対象で、扶養に入っている家族は含まれません。
| 給付 | 扶養内 | 加入後 | どんなとき |
|---|---|---|---|
| 医療費が3割 | ○ | ○ | 病院にかかったとき |
| 高額療養費 | ○ | ○ | 医療費が高額になったとき |
| 傷病手当金 | × | ○ | 病気やケガで働けないとき |
| 出産手当金 | × | ○ | 産休で休んだとき |
| 産休中の保険料免除 | — | ○ | 産前産後休業の期間 |
| 障害厚生年金3級 | × | ○ | 障害の状態になったとき |
出産育児一時金は扶養に入っていても「家族出産育児一時金」として受け取れます。変わるのは、休んでいる間の生活費が出るかどうかです。
傷病手当金:働けない間、給与の3分の2
病気やケガで仕事を休み、その間の給与が出ないときに支給されます。仕事が原因のケガは労災の対象になるため、こちらは私生活での病気やケガが対象です。
支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日(10円未満四捨五入)× 2/3
年収別に当てはめると、次のようになります。
| 年収 | 1日あたり | 30日分 | 3か月休んだ場合 |
|---|---|---|---|
| 106万円 | 1,953円 | 58,590円 | 169,911円 |
| 130万円 | 2,447円 | 73,410円 | 212,889円 |
| 160万円 | 2,980円 | 89,400円 | 259,260円 |
※標準報酬月額は年収106万円で88,000円、130万円で110,000円、160万円で134,000円として計算。3か月分は待期の3日を除いた87日で算出しています。
最初の3日は出ない
連続して3日休んだあと、4日目から支給されます。この3日間を「待期」といいます。連続していることが条件で、2日休んで3日目に出勤した場合は成立しません。土日や有給休暇も日数に数えられます。
支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。以前は連続した1年6か月でしたが、通算になったため、途中で復帰して再び休んでも残りの期間を使えます。
出産手当金:産休の98日分
産休で休み、その間の給与が出ないときに支給されます。計算式は傷病手当金と同じです。
対象になるのは出産日以前42日(多胎妊娠は98日)から、出産の翌日以後56日目までのうち、実際に休んだ期間です。単胎なら合計98日になります。
| 年収 | 1日あたり | 98日分の合計 |
|---|---|---|
| 106万円 | 1,953円 | 191,394円 |
| 130万円 | 2,447円 | 239,806円 |
| 160万円 | 2,980円 | 292,040円 |
産休中は保険料も免除される
見落とされやすいのですが、産前産後休業の期間中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。本人負担分も、勤め先の負担分も、どちらもです。
大事なのは、免除されても保険料を納めたものとして扱われることです。将来の年金が減ることはありません。育児休業中も同じ扱いになります。
つまり産休の期間は、手当を受け取りながら、保険料の負担がない状態になります。
もうひとつ、障害厚生年金3級
障害年金には1級・2級・3級がありますが、3級は厚生年金にしかありません。国民年金だけの人は1級と2級だけが対象です。
3級は、日常生活はできるものの労働に制限がある状態が目安です。1級・2級より該当する範囲が広く、実際に受け取っている人も多い区分です。厚生年金に入ることで、この選択肢が加わります。
※障害年金は初診日に加入していた制度で決まります。詳しくは障害年金の記事で整理しています。
負担と給付を並べて見る
ここまで給付の話をしてきましたが、保険料を払っていることも事実です。年収106万円の場合で並べてみます。
| 内容 | |
|---|---|
| 払うもの | 健康保険料と厚生年金保険料で月およそ12,400円。毎月確実に出ていく |
| 受け取るもの | 傷病手当金は月およそ58,590円。出産手当金は98日で191,394円。ただし該当したときだけ |
保険なので、この関係になるのは当然のことです。負担は確実で、給付は不確実です。健康なまま働き続ければ、傷病手当金を一度も使わないこともあります。
ただ、扶養内で働いていたときは、同じ状況になっても何も出ませんでした。そこは変わります。判断するときは、この両方を並べて見るのが正確だと思います。
モリガマがちょうどいいものを持ってきてくれました。

自分の給与だと傷病手当金がいくらになるか、日数を入れて確かめられます。
まとめ
- 傷病手当金と出産手当金は被保険者本人だけの給付。扶養内では使えない
- どちらも標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3で計算する
- 傷病手当金は連続3日休んだあと4日目から、通算1年6か月まで
- 出産手当金は産前42日+産後56日の範囲で休んだ期間
- 産休・育休中は保険料が免除され、納めたものとして扱われる
- 障害厚生年金3級は厚生年金だけの給付
- 負担は確実、給付は該当したときだけ。両方を並べて考えたい
よくある質問(FAQ)
Q. 扶養に入っていると傷病手当金はもらえませんか?
A. もらえません。傷病手当金は健康保険の被保険者本人に支給される給付で、被扶養者は対象外です。扶養から外れて自分で健康保険に加入すると、対象になります。なお医療費が3割になることや高額療養費は、扶養に入っていても利用できます。
Q. 傷病手当金はいくらもらえますか?
A. 1日あたりの額は、支給開始日以前12か月間の標準報酬月額を平均した額を30で割り(10円未満四捨五入)、3分の2を掛けて求めます。標準報酬月額が88,000円の場合、1日あたり1,953円、30日分で58,590円です。標準報酬月額110,000円なら1日2,447円、134,000円なら1日2,980円になります。
Q. 休んですぐにもらえますか?
A. すぐには支給されません。連続して3日間休んだあと、4日目から対象になります。この3日間を待期といい、連続していることが条件です。2日休んで3日目に出勤した場合は待期が成立しません。土日や有給休暇も待期の日数に含まれます。
Q. 出産手当金はいくら、いつまでもらえますか?
A. 出産日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲で、実際に休んだ期間が対象です。単胎なら最大98日分になります。計算式は傷病手当金と同じで、標準報酬月額88,000円なら1日1,953円、98日で191,394円です。
Q. 産休中も保険料を払うのですか?
A. 産前産後休業の期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が本人負担分・事業主負担分ともに免除されます。免除された期間も保険料を納めたものとして扱われるため、将来の年金が減ることはありません。育児休業中も同様の扱いです。
参考・出典
本記事は情報提供を目的とした一般的な解説です。試算は協会けんぽの計算式にもとづく概算で、実際の支給額や支給の可否は加入する健康保険組合の判断によります。申請の可否や必要書類は、勤め先または加入する健康保険にご確認ください。

