※本記事の数値・制度内容は2025年時点の情報(2022年4月施行の減額率0.4%を反映)に基づきます。最新の正式情報は記事末尾の公的機関リンク・日本年金機構でご確認ください。
・年金65歳vs70歳 損益分岐点では「繰り下げ(遅らせる)」を中心に解説
・本記事は「繰り上げ受給(60歳から早くもらう)のデメリット」に特化し、減額の重さと見落としやすい落とし穴を整理します
年金は原則65歳から。でも希望すれば60〜64歳に早めて受け取れます(繰り上げ受給)。早くもらえるメリットの裏に、見落とされやすいデメリットがあります。判断する前に知っておきたいポイントを整理します。
繰り上げ受給とは(減額のしくみ)
受給開始を65歳より早めると、1ヶ月あたり0.4%年金が減ります(2022年4月以降に60歳になる人)。早めた月数が多いほど減額も大きくなります。
| 受給開始 | 繰り上げ月数 | 減額率 | 月15万円の年金が… |
|---|---|---|---|
| 60歳 | 60ヶ月 | 24%減 | 約11.4万円 |
| 62歳 | 36ヶ月 | 14.4%減 | 約12.8万円 |
| 64歳 | 12ヶ月 | 4.8%減 | 約14.3万円 |
この減額率は一生変わりません。65歳になっても元の額には戻らないのが繰り上げの最大の特徴です。
繰り上げ受給の6つのデメリット
① 減額が一生続く
最大のデメリット。60歳から受け取ると24%減のまま生涯。長生きするほど、繰り上げによる損失は大きくなります。
② 一度請求すると取り消せない
繰り上げ請求は原則として取り消し・変更ができません。「やっぱり65歳まで待てばよかった」と後悔しても元に戻せません。
③ 損益分岐点は約80〜81歳
「早く5年分もらえる」効果と「毎月の減額」を天秤にかけると、おおむね80〜81歳でその後は65歳受給のほうが累計で有利になります。日本人の平均寿命を考えると、長生きする人ほど繰り上げは不利です。
④ 障害年金が請求できなくなる
繰り上げ受給後は、原則として障害基礎年金を請求できなくなります。受給後に病気・ケガで障害状態になっても障害年金を受けられない点は、特に見落とされがちです。
⑤ 寡婦年金が受けられない
繰り上げ受給を始めると、国民年金の寡婦年金(夫を亡くした妻への給付)が受けられなくなります。また、国民年金への任意加入もできなくなります。
⑥ 遺族年金との併給調整
65歳前に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、「繰り上げた老齢基礎年金」か「遺族年金」のどちらか一方しか受け取れません(65歳まで)。両方をフルには受け取れない点に注意。
それでも繰り上げが向いている人
デメリットは大きいですが、次のような場合は繰り上げが選択肢になります。
- 健康上の不安があり、長生きが見込みにくい(損益分岐点の80歳前に使える)
- 60代前半に当面の生活資金が必要で、ほかに収入源がない
- 働いておらず、繰り上げても在職老齢年金による調整がない
60代前半の生活費が不安なら、繰り上げの前に「働いて雇用保険・厚生年金を増やす」「失業給付や高年齢雇用継続給付を使う」などの選択肢も。減額を一生背負う前に、ほかの手段がないか確認しておきましょう。
自分の減額と損益分岐点を計算してみよう
繰り上げると年金がいくら減るか、何歳で65歳受給に追い抜かれるかは、年金額と開始年齢で変わるよ。自分の数字を入れて、減額後の金額と損益分岐点を確認してみよう。
よくある誤解
誤解1:65歳になれば減額は元に戻る
戻りません。繰り上げの減額率は一生固定。65歳以降もずっと減額された年金額が続きます。
誤解2:繰り上げ後でも障害年金はもらえる
原則として、繰り上げ受給後は障害基礎年金を請求できません。健康に不安がある人は特に慎重な判断が必要です。
誤解3:繰り上げと繰り下げは後から選び直せる
繰り上げは一度請求すると取り消せません。一方、繰り下げ(遅らせる)は、待っている間に気が変われば65歳時点に遡って受け取ることも可能で、柔軟性が違います。
誤解4:早くもらった方が総額は多い
損益分岐点(約80〜81歳)より長生きすると、65歳受給のほうが累計で多くなります。平均寿命を考えると、多くの人にとって繰り上げは総額で不利になりがちです。
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公的機関の最新情報
※本記事の内容は執筆時点(2025年)の情報に基づきます。減額率は生年月日により異なる場合があり、個別の年金額・損益分岐点は加入状況で変わります。実際の繰り上げ可否・影響は必ず日本年金機構・年金事務所にご確認ください。本記事は情報提供を目的としています。

