※本記事の数値・制度内容は2025年時点の情報(2025年税制改正で新設された特定親族特別控除を含む)に基づきます。最新の正式情報は記事末尾の公的機関リンク・国税庁でご確認ください。
・基礎控除・配偶者控除・医療費控除など、主要な控除は個別記事で深掘り
・本記事は「15種類の所得控除の全体像と、見落とされやすい控除」に特化し、申告し忘れがちな控除をまとめてチェックします
所得税・住民税は「所得 − 所得控除」で計算されます。つまり控除を使い切るほど税金が安くなります。この記事では15種類の所得控除を一覧で整理し、見落とされやすい控除をくわしく解説します。
所得控除は全部で15種類
| 分類 | 控除 |
|---|---|
| 人的控除(人に関するもの) | 基礎控除/配偶者控除/配偶者特別控除/扶養控除/障害者控除/寡婦控除/ひとり親控除/勤労学生控除 |
| 物的控除(支出に関するもの) | 社会保険料控除/小規模企業共済等掛金控除/生命保険料控除/地震保険料控除/医療費控除/雑損控除/寄附金控除 |
このうち基礎控除・配偶者控除・生命保険料控除・医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税)は使う人が多い控除。ここでは「該当するのに見落とされやすい控除」を中心に見ていきます。
見落としやすい控除①:障害者控除
本人・配偶者・扶養親族が障害者の場合に使えます。身体・精神の障害者手帳がなくても、要介護認定を受けている高齢者が市区町村から「障害者控除対象者認定」を受ければ対象になることがあり、ここが見落とされがちです。
| 区分 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 障害者 | 27万円 | 26万円 |
| 特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 |
見落としやすい控除②:寡婦控除・ひとり親控除
配偶者と離婚・死別した人を支える控除です。2020年に「ひとり親控除」が新設され、婚姻歴の有無や男女を問わずひとり親が使えるようになりました。
| 控除 | 所得税 | 主な条件 |
|---|---|---|
| ひとり親控除 | 35万円 | 現に婚姻なし+生計を一にする子(総所得48万以下)+本人の合計所得500万以下 |
| 寡婦控除 | 27万円 | ひとり親に該当しない離婚・死別の女性+合計所得500万以下 |
「子がいる」場合はひとり親控除(35万円)が優先。寡婦控除は子以外の扶養親族がいる離婚女性などが対象です。
見落としやすい控除③:勤労学生控除
働きながら学ぶ学生本人が使える控除。所得税27万円・住民税26万円が控除されます。
- 本人の合計所得が75万円以下(給与年収130万円以下)
- 勤労によらない所得(株の利益など)が10万円以下
- 特定の学校の学生・生徒であること
これを使うと、学生バイトの住民税・所得税の非課税ラインが上がります。ただし、親の扶養から外れるライン(2026年分は給与収入136万円以下が扶養の目安)は別に決まる点に注意。
見落としやすい控除④:特定親族特別控除(2025年新設)
これまで、19〜22歳の子(特定扶養親族)のバイト年収が103万円を超えると、親の特定扶養控除63万円がいきなりゼロになっていました。2025年新設の「特定親族特別控除」により、子の合計所得が58万円超123万円以下(給与年収123万〜188万円ほど)でも、親が所得に応じて段階的に控除を受けられるようになりました。大学生の子を持つ家庭は要チェックです。
見落としやすい控除⑤:地震保険料控除・雑損控除
- 地震保険料控除:地震保険の保険料が対象。所得税は最大5万円、住民税は最大2.5万円。火災保険にセットで入っている人は申告忘れに注意。
- 雑損控除:災害・盗難・横領で資産に損害を受けたときに使える。空き巣被害や台風・水害の損失も対象になりうる。意外と知られていない控除。
控除を使うとどれくらい戻る?
所得控除の節税額は「控除額 × 税率」。所得税+住民税の合計税率で考えます。
| 控除の例 | 税率20%(年収500万円目安)の節税額 |
|---|---|
| 障害者控除(27万円) | 約5.3万円 |
| ひとり親控除(35万円) | 約6.5万円 |
| 勤労学生控除(27万円) | 約5.3万円 |
※所得税は超過累進、住民税は人的控除の調整があるため概算です。それでも「該当するのに申告していない」と、年間数万円を取りこぼすことになります。
申告方法
- 会社員:年末調整で申告できる控除が多い(障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生・配偶者・扶養・各種保険料)。「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書」に記入。
- 年末調整で対応できないもの:医療費控除・雑損控除・寄附金控除(ワンストップ未利用)は確定申告が必要。
- 申告し忘れた過去の控除:5年前まで遡って還付申告できる。気づいたら過去分も取り戻せる。
よくある誤解
誤解1:障害者手帳がないと障害者控除は使えない
手帳がなくても、要介護認定を受けた高齢者が市区町村の「障害者控除対象者認定」を受ければ対象になることがあります。同居の親を介護している人は、市区町村に確認する価値があります。
誤解2:ひとり親控除は離婚した母親だけ
2020年の改正で、未婚のひとり親や父子家庭も対象になりました。婚姻歴の有無・男女を問わず、生計を一にする子がいて所得条件を満たせば使えます。
誤解3:控除は所得税だけの話
所得控除は住民税にも効きます(金額は所得税と少し違う)。所得税で還付され、翌年の住民税も下がる二重の効果があります。
誤解4:申告し忘れたらもう取り戻せない
5年前まで遡って還付申告できます。過去に該当していたのに使っていなかった控除は、今からでも取り戻せる可能性があります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 所得控除は全部で何種類ある?
A. 所得税の所得控除は15種類です。基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除(人的控除)と、社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・医療費控除・雑損控除・寄附金控除(物的控除)です。
Q. 障害者控除は障害者手帳がないと使えない?
A. 手帳がなくても、要介護認定を受けた高齢者が市区町村から「障害者控除対象者認定」を受ければ対象になることがあります。同居の親を介護している場合などは、市区町村に確認する価値があります。控除額は障害者27万円・特別障害者40万円・同居特別障害者75万円(所得税)です。
Q. ひとり親控除と寡婦控除の違いは?
A. 子がいるひとり親はひとり親控除(所得税35万円)が優先で、婚姻歴の有無・男女を問わず使えます。寡婦控除(所得税27万円)は、ひとり親に該当しない離婚・死別の女性で、子以外の扶養親族がいる場合などが対象です。どちらも本人の合計所得500万円以下が条件です。
Q. 申告し忘れた控除は取り戻せる?
A. はい。所得控除を申告し忘れた場合でも、5年前まで遡って還付申告ができます。過去に障害者控除やひとり親控除などに該当していたのに使っていなかった場合は、今からでも取り戻せる可能性があります。
公的機関の最新情報
※本記事の内容は執筆時点(2025年)の情報に基づきます。控除額・適用条件は改正される場合があり、住民税は所得税と金額・調整が異なります。実際の適用可否は国税庁・お住まいの市区町村・税理士にご確認ください。本記事は情報提供を目的としています。


