※本記事は2026年9月時点の情報です。保険料は全国平均で、実際の額は都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合によって異なります。最新の数字は記事末尾の公的機関リンクからご確認ください。
まず結論:3行でわかる要点
- 窓口負担は1割・2割・3割の3段階。2割は被保険者(この制度に加入している人)全体の約20%
- 2割の人の負担増をやわらげていた配慮措置は2025年9月30日で終了した
- 2026・2027年度の保険料は全国平均で月7,989円。前の2年から7.8%上がった
親が75歳になると、健康保険が後期高齢者医療制度に切り替わります。届く書類が変わり、窓口で払う割合も変わることがあります。
この制度は、この2〜3年で静かに変わりました。2022年10月に2割負担が導入され、その急な負担増をやわらげる配慮措置が2025年9月末で終わっています。そして2026年度からは保険料も上がりました。
この記事では、窓口で何割払うのかがどう決まるのか、2026年度の保険料はいくらなのか、子の側から何を確認できるのかを整理します。
対象になるのは、原則75歳以上
厚生労働省の説明では、後期高齢者医療制度の被保険者は原則として75歳以上の方です。65歳以上75歳未満でも、一定の障害があるとして、制度を運営する広域連合の認定を受けた人は対象になります。
制度を運営しているのは市区町村ではなく、都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合です。保険料率(保険料を計算するときに使う割合)もこの単位で決まるため、住んでいる都道府県によって金額が変わります。
窓口負担は1割・2割・3割
2022年(令和4年)10月1日から、それまでの「1割か3割」に2割が加わりました。判定は世帯単位で行われます。
| 負担割合 | 対象 |
|---|---|
| 3割 | 現役並み所得者 |
| 2割 | 次の①と②の両方に当てはまる方 ①課税所得が28万円以上 ②「年金収入+その他の合計所得金額」が ・単身世帯:200万円以上 ・複数世帯:合計320万円以上 |
| 1割 | 上記以外の方 |
2割になるのは「課税所得28万円以上」と「年金収入等の額」の両方に当てはまる場合です。片方だけなら1割のままです。2割の人は、被保険者全体のうち約20%です。

遺族年金と障害年金は「年金収入」に入らない
厚生労働省のQ&Aにはっきり書かれています。判定に使う「年金収入」には、遺族年金や障害年金は含まれません。
配偶者を亡くして遺族年金を受け取っている人は、通帳の入金額だけを見ると多く見えることがありますが、判定にはその分は入りません。
自分の負担割合は、広域連合または市区町村から交付される被保険者証に記載されています。毎年8月に判定し直されるのが一般的なので、届いた書類は割合の欄を確認しておくと安心です。
2025年9月末で「配慮措置」が終わった
ここが、いま知っておくべきいちばんの変化です。
2割負担が導入されたとき、いきなり負担が倍になるのを防ぐため配慮措置が設けられていました。厚生労働省の説明では、1か月の外来医療の窓口負担の増加額を3,000円までに抑えるというものです。
この措置は令和4年10月1日から3年間の期限つきで、令和7年(2025年)9月30日をもって終了しました。
厚生労働省も、配慮措置の終了とあわせて「配慮措置が終了となった後も、高額療養費制度により外来の自己負担には上限がある」と案内しています。その上限は2026年8月診療分から見直されました(2割負担の人)。
- 2026年7月まで:月18,000円・年間144,000円
- 2026年8月から:月22,000円・年間216,000円
つまり2割負担でも、外来にかかった1か月の自己負担は月22,000円で頭打ちになります。年間で見ても216,000円が上限です。「毎月の通院費が際限なく増える」わけではないという点は、家計の見通しを立てるうえで押さえておきたいところです。
2026・2027年度の保険料は月7,989円
保険料は2年ごとに見直されます。保険料は、全員が同じ額を負担する「均等割」と、所得に応じて決まる「所得割」(所得×所得割率)の合計です。厚生労働省が2026年(令和8年)4月10日に公表した令和8・9年度の保険料率は次のとおりです。いずれも全国平均です。
| 令和8・9年度 | 令和6・7年度 | |
|---|---|---|
| 被保険者均等割額(年額) | 56,083円 | 50,389円 |
| 所得割率 | 10.17% | 10.21% |
| 平均保険料額(月額) | 7,989円 | 7,411円 |
| 平均保険料額(年額) | 95,875円 | 88,940円 |
月額で578円、率にして7.8%の増です。年間では約7,000円増えます。
ここで注目したいのは、所得割率はわずかに下がっている(10.21%→10.17%)のに、全体では上がっているという点です。上がったのは均等割額のほうで、年50,389円から56,083円へ5,694円増えています。
均等割は所得にかかわらず同じ額なので、所得が少ない人ほど、この改定の影響を受けやすい構造になっています。所得の低い世帯には均等割の軽減措置がありますが、適用の有無は世帯の所得で判定されるため、住んでいる自治体の通知を確認する必要があります。
「子ども分」の保険料も公表された
令和8年度からは、医療分とは別に「子ども分」の保険料率が公表されています。子育て支援の財源を各医療保険から集める仕組みです。全国平均は次のとおりです。
・均等割額:年1,351円(月112円)
・所得割率:0.25%
・平均保険料額:年2,333円(月194円)
詳しくは子ども・子育て支援金の記事で整理しています。
子の側から確認できること
親の医療費について、離れて暮らす子ができることもあります。
1. 負担割合の欄を見る
被保険者証に記載されています。1割か2割かで、年間の医療費の見通しが変わります。2割で通院が多いなら、外来の上限(2割の人は月22,000円・年216,000円)に届いているかを確認する価値があります。
2. 介護費と重なっていないか見る
医療と介護の両方に自己負担が出ている年は、1年分をまとめて合算する制度があります。8月1日から翌年7月31日までが対象期間です。詳しくは高額介護サービス費と合算制度の記事で整理しています。
3. 医療費控除に使えないか見る
生計を一にしていれば(生活費を共通にしていれば)、親の医療費を子がまとめて申告できます。仕送りをしている、同居しているといった場合が該当します。年10万円(所得200万円未満なら所得の5%)を超えた分が控除の対象です。
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親の分をまとめると、思ったより医療費控除の対象になることがあります。いくら戻るのかを先に見ておくと、領収書を取っておく理由がはっきりします。
まとめ
- 後期高齢者医療制度の被保険者は原則75歳以上。65〜74歳でも一定の障害の認定を受ければ対象
- 窓口負担は1割・2割・3割。2割は全体の約20%
- 2割の条件は課税所得28万円以上、かつ年金収入等が単身200万円・複数世帯320万円以上の両方
- 遺族年金と障害年金は判定の「年金収入」に含まれない
- 負担増をやわらげていた配慮措置は2025年9月30日で終了
- 終了後も外来の自己負担には上限がある。2割の人は2026年8月から月22,000円・年216,000円
- 令和8・9年度の保険料は全国平均月7,989円(前の2年から7.8%増)
- 所得割率は下がったが均等割が5,694円上がった。所得の低い人ほど影響が出やすい
- 生計を一にしていれば、親の医療費を子が医療費控除にまとめられる
よくある質問(FAQ)
Q. 後期高齢者医療制度の対象になるのは何歳からですか?
A. 原則として75歳以上の方です。また65歳以上75歳未満の方でも、一定の障害があると後期高齢者医療広域連合から認定を受けた場合は被保険者になります。制度を運営しているのは都道府県ごとの広域連合で、保険料率もその単位で決まります。
Q. 窓口負担が2割になるのはどんな人ですか?
A. 現役並み所得者(3割)を除き、課税所得が28万円以上で、かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が単身世帯なら200万円以上、複数世帯なら合計320万円以上の方です。両方に当てはまる場合に2割となり、片方だけなら1割のままです。2割の対象は被保険者全体の約20%とされています。
Q. 遺族年金も判定の対象になりますか?
A. なりません。厚生労働省は、判定に使う「年金収入」には遺族年金や障害年金は含まれないとしています。配偶者を亡くして遺族年金を受け取っている場合でも、その分は負担割合の判定には入りません。
Q. 2割負担の配慮措置はまだありますか?
A. 終了しました。1か月の外来医療の窓口負担の増加額を3,000円までに抑える配慮措置は、令和4年10月1日から3年間の措置として設けられ、令和7年(2025年)9月30日をもって終了しています。ただし終了後も高額療養費制度により、外来の自己負担には上限があります。2割の人の上限は、2026年8月診療分から月22,000円(年間216,000円)です。
Q. 2026年度の保険料はいくらですか?
A. 令和8・9年度の被保険者一人当たり平均保険料額は、全国平均で月額7,989円(年額95,875円)です。令和6・7年度の月額7,411円から578円、7.8%の増加となります。被保険者均等割額は年56,083円、所得割率は10.17%です。実際の額は都道府県ごとの広域連合によって異なります。
Q. 親の医療費を子の医療費控除に入れられますか?
A. 生計を一にしていれば、親の医療費を子がまとめて申告できます。同居している場合のほか、仕送りをしている場合も生計を一にすると扱われることがあります。年10万円(総所得金額等が200万円未満の人はその5%)を超えた分が控除の対象です。
参考・出典
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」 — 2割負担の判定基準、被保険者の範囲、遺族年金・障害年金の取扱い、配慮措置の終了と外来の自己負担上限
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」 — 均等割額・所得割率・平均保険料額(医療分・子ども分)
※保険料は全国平均です。実際の額と軽減措置の適用は、お住まいの都道府県の後期高齢者医療広域連合および市区町村の判定によります。

