相続税の基本ガイド|誰がいくら払う?基礎控除・特例・申告手順を整理

お金の基礎
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※本記事の数値・料率・制度内容は2026年5月時点の情報に基づきます。税制改正や料率改定により変動する可能性があるため、最新の数字は記事末尾の公的機関リンクからご確認ください。

ユキ

祖父が先日亡くなって、相続の話を親族で進めているんだけど…「相続税ってかかるの?」「いくら?」って正直よくわからない。富裕層だけの話だと思ってた。
モリガマ

2015年の改正で基礎控除が大きく下がってから、相続税は「ごく一部の富裕層だけ」の話じゃなくなったんだ。都市部に持ち家があれば対象になることも珍しくないよ。仕組みから整理してみよう。

「相続税は富裕層だけ」というイメージは、2015年の税制改正以降は通用しにくくなっています。基礎控除の引き下げで対象者が大きく増え、都市部の持ち家+預貯金で簡単に課税ラインを超えるケースも増えました。この記事では、相続税の基本的な仕組み・基礎控除・特例・申告手順を、初めて相続を経験する人向けに整理します。

相続税の仕組みをざっくり理解する

相続税は、亡くなった人(被相続人)の財産を引き継ぐ際にかかる税金です。すべての相続に課税されるわけではなく、基礎控除を超える部分にだけかかります。

相続税の基礎控除

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例えば、亡くなった父の財産を母・子2人で相続する場合、基礎控除は「3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円」。遺産総額がこれ以下なら相続税はかからないのが原則です。

「対象になりやすい」のはどんな家庭?

家庭の状況 基礎控除 課税の可能性
配偶者+子1人 4,200万円 都市部の持ち家+預貯金で超える可能性大
配偶者+子2人 4,800万円 同上
配偶者+子3人 5,400万円 超えるケースは限定的
子なし配偶者のみ 3,600万円 比較的超えやすい

「持ち家(2,000〜3,000万円相当)+預貯金(数百万〜数千万円)+生命保険(受取人指定)」を合わせれば、配偶者+子1人の家庭で4,200万円を超えるのは決して珍しくありません。

相続税がかかる財産・かからない財産

ユキ

そもそも何が「相続財産」になるんだろう?預金や家以外にも、思いがけないものが含まれそうだな…。

課税対象になる主な財産

区分 具体例・評価方法
不動産 土地(路線価or倍率方式)、建物(固定資産税評価額)
金融資産 預貯金、株式、投資信託、国債、社債など
生命保険金 「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠あり
死亡退職金 同じく「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠
貴金属・美術品 時価で評価(査定が必要なケースも)
名義預金 名義は子・孫でも実質的に被相続人の財産なら課税対象

課税されない財産

  • 墓地・墓石・仏壇・仏具など祭祀財産(生前に購入した方が節税になることが多い)
  • 生命保険金の非課税枠分(500万円 × 法定相続人の数)
  • 国・地方公共団体・特定の公益法人への寄附
  • 香典(社会通念上相当な金額の範囲内)

相続税の計算手順(5ステップ)

相続税の計算は段階的に行います。手順を理解すれば、自分の家のおおよその税額が見えてきます。

ステップ1:遺産総額を計算

全相続財産(不動産・預貯金・株式・保険金など)を時価で評価し合計します。葬式費用・借金・未払い税金は差し引き可。

ステップ2:基礎控除を差し引く

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数。これを下回るなら相続税はかからず、申告も原則不要(特例適用時を除く)。

ステップ3:法定相続分で按分

課税対象額を法定相続分で仮に分割します。配偶者は1/2、子は残りを均等分割など。

ステップ4:各人ごとに税率を適用

仮分割した金額に税率を掛けて、各人の仮税額を計算。これを合計して「相続税の総額」を出します。

ステップ5:実際の取得割合で按分・配偶者の税額軽減

相続税の総額を、実際に各人が受け取った割合で再按分。配偶者は1.6億円(または法定相続分相当額)まで非課税の特例あり。

相続税率の表

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

具体的なケース別シミュレーション

ケース1:遺産5,000万円・配偶者と子2人が相続

遺産総額:5,000万円

基礎控除:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

課税対象:5,000 − 4,800 = 200万円

相続税総額:200万円 × 10% = 20万円

配偶者の税額軽減を適用 → 実質的に相続税ゼロのケースも多い

ケース2:遺産1億円・配偶者と子2人が相続

遺産総額:1億円

基礎控除:4,800万円

課税対象:10,000 − 4,800 = 5,200万円

法定相続分で按分:配偶者2,600万円 / 子1,300万円ずつ

各人の仮税額:配偶者 2,600×15%−50=340万円 / 子1人 1,300×15%−50=145万円

相続税の総額:340 + 145 + 145 = 630万円

実際の取得割合で按分。配偶者が法定相続分通りなら配偶者の税額軽減で配偶者分はゼロ → 子2人で約290万円ずつが目安

主な特例・控除

モリガマ

相続税は基礎控除以外にも、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった、大きな節税につながる仕組みがいくつもあるんだ。これらを知らずに申告すると、本来払わなくていい税金を払うことになりかねないよ。

配偶者の税額軽減

配偶者が取得した財産については、「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い方まで相続税がかからない特例です。実質的に、配偶者がいる場合は1次相続でほとんど課税されないケースも多くあります。

ただし、この特例を使うには相続税の申告が必須。基礎控除を超えていても「ゼロになるから申告しなくていい」とはなりません。

小規模宅地等の特例

被相続人が住んでいた自宅の土地について、一定の条件を満たせば評価額が最大80%減額される特例。条件は配偶者または同居していた子が引き継ぐなど。

都市部の自宅は土地評価額が高くなりがちで、この特例の有無で相続税が大きく変わります。事前に同居しているか否かで節税効果が大きく異なるため、家族構成の見直しが必要なケースも。

未成年者控除・障害者控除

未成年(18歳未満)の相続人は「18歳になるまでの年数 × 10万円」、障害者は「85歳になるまでの年数 × 10〜20万円」が控除されます。

暦年贈与と相続時精算課税(贈与税との関係)

生前贈与の活用は相続税対策の基本ですが、2024年1月1日以降の贈与から「相続開始前の持ち戻し期間が3年→7年に段階的に延長」されました。経過措置として、相続開始4〜7年前の贈与は合計100万円を差し引いた金額が相続財産に加算されます。完全に7年フル適用となるのは2031年1月以降の相続です。早めに計画的に贈与することが重要です。詳しくは贈与税の記事を参照。

申告と納税の手順

申告期限:相続開始から10ヶ月以内

被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署に申告書を提出します。これを過ぎると延滞税や加算税が発生します。

必要書類の例

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本・住民票
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印・印鑑証明書)
  • 不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書
  • 預貯金の残高証明書(死亡日時点)
  • 株式・投資信託の評価明細
  • 生命保険金支払明細書
  • 葬式費用の領収書
  • 債務(住宅ローン残高、未払い医療費など)の明細

納税方法

原則は現金一括納付。納付が困難な場合は「延納」(最大20年の分割払い)や「物納」(不動産・株式での納付)が認められるケースもありますが、要件は厳格です。

「自分でやる」か「税理士に頼む」か

相続税の申告は自分でやることも可能ですが、不動産が含まれる場合や遺産総額が大きい場合は税理士に依頼するケースが多いです。

パターン 向いている人 費用目安
自分で申告 遺産が預貯金中心・5,000万円以下・相続人で揉めていない 0円
税理士に依頼 不動産あり・遺産5,000万円超・小規模宅地等の特例を使う・相続人が揉めそう 遺産総額の0.5〜1.0%程度(数十万〜100万円台)

税理士費用は決して安くありませんが、特例を正しく適用することで税理士費用を上回る節税ができるケースも多くあります。

相続税対策は「元気なうちに始める」が鉄則

相続が発生してから対策を取れることは限られます。本格的な節税は10年単位の準備が必要です。

  • 暦年贈与の活用:年110万円までは贈与税非課税。長期で複数人に贈与することで相続財産を圧縮
  • 生命保険の非課税枠の活用:「500万円 × 法定相続人数」までは非課税で受け取れる
  • 不動産購入による評価圧縮:現金より不動産(特に賃貸)のほうが評価額が下がる
  • 住宅取得等資金の贈与の特例:子・孫への住宅資金贈与は一定額まで非課税
  • 教育資金一括贈与の非課税特例:30歳未満の子・孫への教育資金は最大1,500万円まで非課税
ユキ

相続って税金の話だけじゃなくて、家族間の話し合いがすごく大事だね。元気なうちに親と一度ちゃんと話しておこうかな。

整理すると、こういうことだった

  • 相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人数」
  • 2015年の改正で対象者が大きく増加(都市部の持ち家+預貯金で課税ライン到達も)
  • 配偶者は1.6億円または法定相続分まで非課税の特例あり(要申告)
  • 小規模宅地等の特例で自宅の土地評価額を最大80%減額できる
  • 申告期限は相続開始から10ヶ月以内、現金一括納付が原則
  • 不動産あり・5,000万円超・特例適用が必要なら税理士に依頼するのが現実的
  • 本格的な節税対策は10年単位の準備が必要(暦年贈与・生命保険活用など)

参考情報・公的機関リンク

本記事は以下の公的機関の公表資料を参考に作成しています。最新情報・最新の制度内容は各公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. 相続税は誰が払う?

遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合に、財産を相続した人が払います。基礎控除以下なら相続税はかかりません。

Q. 相続税の基礎控除はいくら?

「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。例えば相続人が3人なら4,800万円までは相続税がかかりません。

Q. 相続税を軽くする方法は?

配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、生前の暦年贈与や生命保険の非課税枠などがあります。早めの対策で負担を抑えられます。

この記事の信頼性について
本記事は、国税庁・厚生労働省・金融庁など公的機関の一次情報をもとに作成し、税制改正・料率改定にあわせて内容を更新しています。記事の作成プロセスと情報源の選び方は運営者情報編集方針をご覧ください。内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからご連絡ください。

この記事を書いた人

森のおかね図書館 管理人

ひーくん(森のおかね図書館 管理人)

社会人になりたての頃、割高な貯蓄型保険やFX・バイナリーオプションで遠回りをした経験から、お金の勉強を7年間継続中。家計・税制・年金・NISA・iDeCo・住宅などの実体験を踏まえ、特定の金融商品の販売をしない中立な情報発信を心がけています。
プロフィールを詳しく見る編集方針

免責 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・サービスの推奨や投資・税務助言ではありません。掲載内容は執筆時点の情報であり、最新の制度・金額については公式情報でご確認ください。詳しくは免責事項編集方針をご覧ください。
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