※本記事の数値・料率・制度内容は2026年5月時点の情報(令和8年度税制改正大綱・関連報道)に基づきます。最新の正式情報は記事末尾の公的機関リンクからご確認ください。
・【2026年】178万円の壁とは?所得税が変わる仕組みでは「年収帯別の影響」を解説
・本記事は基礎控除そのものの仕組み(本則/特例/物価連動/住民税との違い/実務での扱い)に焦点を当てます
2026年から基礎控除の仕組みが大きく変わります。新聞・ニュースでは「最大104万円」「年収665万円以下に上乗せ」など断片的な情報が飛び交いますが、実際は本則・特例・物価連動・住民税の4つの要素が組み合わさっています。この記事では、基礎控除の仕組みを順を追って整理し、年末調整・確定申告での実務的な扱いまで解説します。
そもそも基礎控除とは?
基礎控除は、納税者なら誰でも適用される所得控除のひとつ。「最低限の生活費は税金をかけない」という考え方に基づいて、所得から一定額を差し引いてから税金を計算する仕組みです。
課税所得 = 収入 − 給与所得控除(給与所得者の場合) − 基礎控除 − その他の所得控除
所得税 = 課税所得 × 税率 − 控除額
基礎控除が大きいほど課税所得が小さくなり、所得税も軽くなります。長らく48万円(2019年以前は38万円)でしたが、2025年と2026年の連続改正で大きく動きました。
2025年改正:48万円から段階制へ
2025年(令和7年)の税制改正で、基礎控除は所得帯別の階段制になりました。一律48万円だったものが、合計所得金額に応じて58〜95万円に。
| 合計所得金額 | 2024年まで | 2025年改正後 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 48万円 | 95万円 |
| 132〜336万円 | 48万円 | 88万円 |
| 336〜489万円 | 48万円 | 68万円 |
| 489〜655万円 | 48万円 | 63万円 |
| 655〜2,350万円 | 48万円 | 58万円 |
低所得者ほど多く控除される設計で、扶養を外れて働き始めたパート主婦・主夫の所得税負担を軽くする狙いがあります。
2026年改正:本則の物価連動+上乗せ特例
2026年(令和8年)の税制改正大綱では、上記の階段そのものが大きく組み替えられました。ポイントは2つあります。
ポイント1:本則の物価連動制(恒久措置)
直近2年間の消費者物価指数(CPI)の伸びに連動して、基礎控除の本則を引き上げる仕組みが導入されました。2024〜2025年のCPI伸びが約6%だったため、本則48万円が62万円(+14万円相当)に。今後も2年に1回、自動的に引き上げされます。
ポイント2:489万円以下は一律104万円へ(2026・2027年限定)
合計所得金額489万円以下(給与収入でおよそ665万円以下)の人に対して、本則62万円に特例42万円を上乗せして合計104万円とする時限措置が導入されました。2025年改正では所得に応じて88万円・68万円と段階的に下がる仕組みでしたが、2026年分からは489万円以下なら一律104万円に整理されています。
| 合計所得金額(給与収入) | 2025年 | 2026・2027年 |
|---|---|---|
| 132万円以下(年収200万以下) | 95万円 | 104万円(+9万) |
| 132〜336万(年収200〜475万) | 88万円 | 104万円 |
| 336〜489万(年収475〜665万) | 68万円 | 104万円 |
| 489〜655万(年収665〜850万) | 63万円 | 67万円 |
| 655〜2,350万(年収850万超) | 58万円 | 62万円 |
つまり、2026年改正では合計所得489万円(給与収入で約665万円)までの人が一律104万円となり、2025年改正より対象が大きく広がりました。
住民税の基礎控除は所得税と別物
所得税の基礎控除がこれだけ動いても、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きです。これは年末調整や確定申告で混乱しやすいポイント。
| 税金 | 基礎控除(2026年・年収200万以下) | 基礎控除(2026年・年収200万超) |
|---|---|---|
| 所得税 | 104万円 | 58〜88万円(所得帯別) |
| 住民税 | 43万円 | 43万円 |
所得税は安くなっても、住民税の基礎控除は43万円のまま変わりません。ただし住民税の非課税ラインは給与所得控除の引き上げにあわせて動いており、単身・1級地の目安で2025年の所得(2026年度の住民税)は110万円、2026年の所得(2027年度の住民税)は119万円です。所得税より低い年収から課税が始まる関係は2026年も変わりません。
年収別に見る2026年の基礎控除
基礎控除は「給与収入」ではなく、そこから給与所得控除を引いた合計所得金額で判定されます。給与収入の目安とあわせて整理すると、次のようになります。
| 給与収入の目安 | 合計所得金額 | 2026年分の基礎控除 |
|---|---|---|
| 200万円 | 約126万円 | 104万円 |
| 300万円 | 約202万円 | 104万円 |
| 400万円 | 約276万円 | 104万円 |
| 600万円 | 約436万円 | 104万円 |
| 約665万円 | 約489万円 | 104万円(ここが上限) |
| 700万円 | 約520万円 | 67万円 |
| 約850万円 | 約655万円 | 67万円(ここが上限) |
| 900万円 | 約705万円 | 62万円 |
※給与所得控除を差し引いた概算です。2025年(令和7年分)は合計所得金額に応じて95万・88万・68万・63万・58万と段階的でしたが、2026年分からは489万円以下が一律104万円に整理されました。
年末調整・確定申告での書き方
年末調整の書類「基礎控除申告書」
会社員の場合、毎年11〜12月に提出する「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に基礎控除の情報を記入します。書類のフォーマットは2026年用の改正版が国税庁から発表される予定。
記入で重要なのは「給与所得控除後の所得金額」。給与額面ではなく、所得金額(収入から給与所得控除を引いた金額)で判定します。年収500万円の人なら、給与所得控除約145万円を引いた約355万円が「合計所得金額」になります。
確定申告書(フリーランス・副業の場合)
確定申告では、所得控除欄に基礎控除額を記入します。e-Taxの確定申告書等作成コーナーを使えば、合計所得金額に応じた基礎控除額が自動で計算されます。手書きの場合は、上の表を参照して該当する金額を記入してください。
よくある誤解
誤解1:「基礎控除=給与所得控除」と混同
給与所得控除は「収入から経費代わりに差し引く」もの。基礎控除は「所得から最低生活費を差し引く」もの。両者は別の制度です。
給与所得 −(基礎控除・その他控除) = 課税所得
課税所得 × 税率 − 控除額 = 所得税
誤解2:「全員が104万円もらえる」
104万円になるのは合計所得金額489万円(給与収入で約665万円)以下の人です。それを超えると67万円、合計所得655万円超では62万円と段階的に下がります。
誤解3:「住民税も同じだけ控除される」
住民税の基礎控除は所得税と別の体系で、43万円のまま据え置き(合計所得金額2,400万円以下の場合)。所得税が安くなっても住民税は変わらないので、手取り計算の際は要注意。
誤解4:「2026年からずっと104万円」
上乗せ特例(本則62万円+特例42万円=104万円)は2026・2027年の2年間限定の時限措置。2028年以降は本則62万円+物価連動分のみに戻る可能性があります(次の税制改正で延長されない場合)。
整理すると、こういうことだった
- 基礎控除は「最低限の生活費は税金をかけない」ための所得控除
- 2025年改正で48→58〜95万円の階段制を導入(合計所得金額別)
- 2026年改正で本則62万円に物価連動引き上げ+合計所得489万円以下に104万円特例(2026・2027年限定)
- 2025年改正より減税の対象が大きく広がり、合計所得489万円(給与収入で約665万円)までは一律104万円に
- 住民税の基礎控除は43万円据え置き。所得税が下がっても住民税は変わらない
- 「合計所得金額」は給与収入から給与所得控除を引いた金額。年収そのものではない
- 年末調整・確定申告では「合計所得金額」で基礎控除額が決まる
あわせて読みたい
参考情報・公的機関リンク
本記事は以下の公的機関の公表資料を参考に作成しています。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
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国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
— 2025年改正の正式情報 -
財務省「令和8年度税制改正大綱」
— 2026年改正の正式情報 -
国税庁タックスアンサー「基礎控除」
— 基礎控除の制度全般 -
国税庁タックスアンサー「給与所得控除」
— 給与所得控除の計算式
よくある質問(FAQ)
Q. 基礎控除は全員が104万円になりますか?
A. いいえ。104万円になるのは合計所得金額489万円(給与収入で約665万円)以下の人です。489万円超655万円以下は67万円、655万円超2,350万円以下は62万円と段階的に下がります。
Q. 所得税の基礎控除と住民税の基礎控除は同じ?
A. 異なります。所得税の基礎控除は2026年に最大104万円まで拡大されますが、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きです。所得税が安くなっても住民税は変わらないため、手取り計算では注意が必要です。
Q. 基礎控除の特例(104万円)はいつまで続く?
A. 基礎控除の上乗せ特例は2026年・2027年の2年間限定の時限措置です。2028年以降は本則62万円+物価連動分のみに戻る可能性があります(次の税制改正で延長されない場合)。


