2026年度の最低賃金、いくら上がる?時給アップと「年収の壁」の意外な関係

2026年度の最低賃金、いくら上がる?時給アップと「年収の壁」の意外な関係 お金の基礎
約9分で読めます

※本記事は2026年9月時点の情報です。2026年9月3日までに全都道府県の審議会が改定額を答申しました(全国加重平均1,177円)。発効日は10月1日から12月2日まで都道府県ごとに異なり、異議の申出などで変わることがあります。最新の金額は記事末尾の公的機関リンクでご確認ください。

この記事と、サイト内の関連記事の違い
・年収の壁マップでは壁の全体像を解説
・社会保険の適用拡大では制度の変更点を解説
・本記事は「最低賃金の引き上げそのもの」と、時給アップが年収の壁に与える影響に特化します
ユキ

パートの友だちが、時給が上がると「扶養から外れちゃうかも」って心配してたんだ。どういうこと?
モリガマ

時給が上がると、働く時間が同じでも年収は増えるよ。その結果、「年収の壁」に近づく人がいるんだ。

最低賃金(法律で決められた賃金の最低額)は毎年秋に改定され、ここ数年は過去最大級の引き上げが続いています。ここでいう「扶養」には、社会保険の扶養(家族の健康保険に入れてもらうこと)と、税の扶養(家族が配偶者控除・扶養控除を受けること)の2種類があり、基準が違います。この記事では、2026年度の見通しと、パート・アルバイトで働く人が確認しておくべきことを解説します。

2026年度の最低賃金はどうなる?

  • スケジュール:例年7月下旬に国の審議会が引き上げの「目安」を答申(意見をまとめて示すこと) → 8〜9月に都道府県ごとに金額決定 → 10月頃から順次発効(新しい金額が適用され始めること)
  • 2026年度の目安(2026年7月28日答申):全国加重平均(働く人の数を考えに入れた全国平均)で1,176円(前年度1,121円から+55円、引き上げ率4.9%)。過去2番目の引き上げ幅です
  • 答申された改定額(2026年9月3日公表)
    • 全国平均:1,177円(前年度から+56円)
    • 都道府県ごとの引き上げ幅:54〜65円。33府県が国の目安を上回った
    • 最高額と最低額:東京の1,280円、宮崎の1,085円
  • ランク別の目安:Aランク(東京・大阪など大都市)が+54円、B・Cランク(地方)が+56円。地方の引き上げ幅が大都市を上回る異例の答申となりました
  • 政府目標:「2030年代前半のできる限り早期に全国平均1,500円」が正式な目標になっており、大幅引き上げの流れは今後も続く見込みです

主な都道府県の答申額と発効日(予定)です。

都道府県 改定後の時給 引き上げ額 発効日(予定)
東京 1,280円 +54円 10月1日
神奈川 1,279円 +54円 10月1日
大阪 1,231円 +54円 10月1日
埼玉 1,196円 +55円 10月1日
愛知 1,195円 +55円 10月1日
北海道 1,131円 +56円 10月1日
福岡 1,114円 +57円 10月4日
宮崎 1,085円 +62円 10月24日
沖縄 1,086円 +63円 12月2日

出典:厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」(2026年9月3日)。発効日は異議の申出などで変わることがあります。

自分の県はいくら?金額も発効日も都道府県ごとに異なります。上の表にない県は、厚生労働省の「地域別最低賃金」ページで自分の県の新しい金額と発効日を確認しましょう。

時給アップで「勝手に壁に近づく」仕組み

たとえば時給1,050円で週20時間(月約87時間)働く人の年収は約110万円。時給が60円上がって1,110円になると、同じ働き方のまま年収は約116万円になります。

時給と週の労働時間ごとの年収の目安(52週で計算)を早見表にしました。自分の時給が上がったら、この表で壁との距離を確認できます。

時給 週15時間 週20時間 週25時間
1,150円 約90万円 約120万円 約150万円
1,180円 約92万円 約123万円 約153万円
1,200円 約94万円 約125万円 約156万円

週20時間・時給1,200円なら、年収は約125万円です。これは、2026年分の税の扶養の目安(給与収入136万円)を下回ります。社会保険の扶養の目安(年収130万円未満)にもまだ届きません。一方、週25時間になると150万円を超え、どちらの目安も上回ります。2026年分の所得税がかかり始めるのは給与収入178万円からなので、税金より先に扶養の目安にぶつかる形です。「週何時間か」が最重要の管理ポイントです。

2026年度の最低賃金(時給1,085円〜1,280円)で52週働いた場合の年収。週15時間で約85〜100万円、週20時間で約113〜133万円、週25時間で約141〜166万円。住民税119万円・扶養130万円・配偶者控除136万円・所得税178万円の目安と重ねた図
主な壁 何が起きる? 2026年の状況
税金の壁(178万円〜) 本人に所得税がかかり始める 課税ラインは178万円へ引き上げの流れで、税金の壁は以前より高い
社会保険の壁 勤務先の規模等の要件を満たすと社会保険に加入し、手取りが一時的に減ることがある 賃金要件(月8.8万円)は2026年10月に撤廃され、週20時間以上が主役の基準になった
扶養の壁(配偶者・親) 家族の扶養控除・配偶者控除の適用に影響 2026年分は給与収入136万円以下が目安に引き上げ

重要なのは、2026年10月からの適用拡大で「年収106万円」ではなく「週20時間以上働くか」が社会保険加入の中心的な基準になったことです。時給がいくら上がっても、週の労働時間を20時間未満に抑えていれば社会保険の加入対象にはなりません。逆に言えば、時間で調整する人が増えると人手不足が進む——これが最低賃金と壁をめぐる社会的な論点になっています。

「壁を越える」のは本当に損なのか

社会保険に加入すると保険料の分だけ手取りは一時的に減りますが、厚生年金で将来の年金が増える・傷病手当金や出産手当金の対象になるなど、リターンもあります。手取りの変化に加え、受けられる保障と将来の年金も並べて考える必要があります。

モリガマの頭のがま口が開き、神々しい光と共にツールが飛び出した

働く時間と手取りの関係は、年収と勤務先の条件で変わります。上のツールで、壁の前後の手取りを比較してみてください。

パート・アルバイトが秋までにやること

  • ①自分の県の新しい最低賃金と発効日を確認(10月頃・都道府県ごとに違う)
  • ②時給アップ後の年収を試算(時給×週の時間×52週でざっくりOK)
  • ③壁との距離を確認:社会保険は「週20時間」、扶養は「年収136万円(2026年目安)」が主なチェックポイント
  • ④時給が最低賃金を下回っていないか確認:発効日以降、新しい最低賃金未満の時給は違法です。求人票や給与明細を見直しましょう

よくある誤解

誤解1:最低賃金は全国一律で上がる

金額も発効日も都道府県ごとに決まります。国の目安をもとに各県の審議会が決めるため、隣の県と数十円違うこともあります。

誤解2:103万円を超えたら大変なことになる

いわゆる103万円の壁は過去の話で、2026年分の課税ラインは大きく引き上げられています。以前の数字を目安にしている場合は、2026年分の基準で働く時間と年収を確かめましょう。

誤解3:社会保険に入ったら絶対に損

保険料の分だけ手取りは減りますが、将来の厚生年金が増え、傷病手当金などの保障もつきます。手取りだけで損か得かは決められません。

誤解4:時給が上がれば手取りも必ず増える

年収が壁を少し超えると、超える前より手取りが少なくなる場合があります(「働き損ゾーン」と呼ばれます)。境目にいる人はシミュレーションで確認するのが確実です。

関連記事

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年度の最低賃金はいくらになりますか?

A. 2026年9月3日までに全都道府県の審議会が改定額を答申し、全国加重平均は1,177円(前年度から+56円)となりました。引き上げ額は54〜65円で、最高は東京の1,280円、最低は宮崎の1,085円です。発効日は10月1日から12月2日まで都道府県ごとに異なります。自分の県の金額と発効日は厚生労働省の地域別最低賃金ページで確認しましょう。

Q. 時給が上がると扶養から外れてしまいますか?

A. 働く時間が同じでも年収は増えるため、壁に近づくことはあります。ただし2026年分は扶養の目安が給与収入136万円以下、本人の課税ラインも大きく引き上げられており、以前の103万円などの古い数字より壁は高くなっています。最新の基準で自分の年収を試算するのが大切です。

Q. 社会保険の106万円の壁はなくなるのですか?

A. 2026年10月に賃金要件(月8.8万円)が撤廃され、社会保険加入の中心的な基準は「週20時間以上働くかどうか」に移りました。段階的に広がっていくのは、勤務先の従業員数の要件(いまは51人以上)のほうです。時給が上がっても週20時間未満なら加入対象にならない一方、20時間以上なら(勤務先の規模などの要件を満たせば)年収に関係なく加入対象になります。

Q. 自分の時給が最低賃金を下回っていたらどうすればいいですか?

A. 最低賃金は法律上の強制力があり、発効日以降にそれ未満の時給で働かせることは違法です。まず給与明細と自分の県の最低賃金を確認し、下回っていれば勤務先に確認を。改善されない場合は労働基準監督署に相談できます。

出典・参考

制度の内容や金額は改正で変わります。判断の前に、上記の公的機関のページで最新の内容をご確認ください。

この記事の信頼性について
本記事は、国税庁・厚生労働省・金融庁など公的機関の一次情報をもとに作成し、税制改正・料率改定にあわせて内容を更新しています。記事の作成プロセスと情報源の選び方は運営者情報・編集方針をご覧ください。内容の誤りにお気づきの際はお問い合わせからご連絡ください。

この記事を書いた人

森のおかね図書館 管理人

ひーくん(森のおかね図書館 管理人)

社会人になりたての頃、割高な貯蓄型保険やFX・バイナリーオプションで遠回りをした経験から、お金の勉強を7年間継続中。家計・税制・年金・NISA・iDeCo・住宅などの実体験を踏まえ、特定の金融商品の販売をしない中立な情報発信を心がけています。
プロフィールを詳しく見る / 編集方針

免責 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・サービスの推奨や投資・税務助言ではありません。掲載内容は執筆時点の情報であり、最新の制度・金額については公式情報でご確認ください。詳しくは免責事項・編集方針をご覧ください。
お金の基礎
森のおかね図書館管理人をフォローする
タイトルとURLをコピーしました