※本記事の制度内容は2025年時点の情報(2022年1月施行の支給期間「通算化」、2025年4月の平均標準報酬月額改定を反映)に基づきます。最新の正式情報は記事末尾の公的機関リンク、加入する健康保険でご確認ください。
・保険料を払いすぎていない?では公的保障の全体像を解説
・高額療養費制度では医療費の自己負担上限を解説
・本記事は「傷病手当金(病気・ケガで働けない間の所得補償)」に特化し、いくら・いつまで・どう申請するかを整理します
働けなくなったときの不安に備える、会社員の強い味方が「傷病手当金」。健康保険(協会けんぽ・健保組合)から、病気やケガで働けない間の生活を支えてくれる給付です。いくら・いつまで・どう申請するかを具体的に解説します。
傷病手当金とは
業務外の病気やケガで働けず、会社から給料が支払われないときに、健康保険から支給される所得補償の給付です。うつ病などの精神疾患も対象になります(仕事中・通勤中のケガは労災の対象で別制度)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度 | 健康保険(協会けんぽ・健保組合)の給付 |
| 対象 | 健康保険の被保険者(主に会社員) |
| 支給額 | 標準報酬日額の3分の2 |
| 支給期間 | 支給開始日から通算1年6ヶ月 |
| 非課税 | 所得税・住民税は非課税 |
傷病手当金は会社員などが入る健康保険の制度。国民健康保険には原則ありません。自営業・フリーランスは、働けなくなったときの備えを所得補償保険や貯蓄で別途用意しておく必要があります。
もらえる4つの条件
- 業務外の病気・ケガで療養していること(仕事中・通勤中は労災)
- 仕事に就けない(労務不能)状態であること(医師の意見が必要)
- 連続3日間の待期を含み、4日以上仕事を休んでいること
- 休んだ期間に給料の支払いがないこと(一部支給の場合は差額が出る)
いくらもらえる?(支給額の計算)
標準報酬日額 = 支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30
ざっくり言うと「月給(額面)の約3分の2」が目安です。月給別の目安は次の通り。
| 月給(額面) | 1日あたり | 1ヶ月あたり(30日) |
|---|---|---|
| 20万円 | 約4,400円 | 約13.3万円 |
| 30万円 | 約6,600円 | 約20万円 |
| 40万円 | 約8,800円 | 約26.7万円 |
※健康保険の加入が12ヶ月に満たない場合は、自分の平均と「全被保険者の平均標準報酬月額(協会けんぽは2025年4月以降32万円)」の低い方で計算されます。
いつからいつまで?(待期と支給期間)
待期3日間
連続して3日間休むと「待期完成」。支給は4日目からです。最初の3日間は支給されません。待期の3日は有給・公休でもカウントされます。
支給期間は「通算」1年6ヶ月
以前は「支給開始日から暦の1年6ヶ月」で、途中で復職するとその分も期間が消化されていました。改正後は実際に支給を受けた日を通算して1年6ヶ月に。一度復職して再び同じ病気で休んでも、残りの期間を使えるようになり、治療と仕事の両立がしやすくなりました。
退職後も受け取れる?(資格喪失後の継続給付)
条件を満たせば、退職後も引き続き傷病手当金を受け取れます。
- 退職日まで継続して1年以上健康保険の被保険者だったこと
- 退職時に傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしていること(退職日に出勤するとアウト)
- 退職後も継続して労務不能であること
この場合、退職後も通算1年6ヶ月の範囲内で受給を続けられます。退職日の過ごし方ひとつで受給可否が変わるため、休職中に退職する場合は特に注意が必要です。
申請の流れ
- 会社・健保に申し出、「傷病手当金支給申請書」を入手
- 医師に「療養担当者記入欄」を記入してもらう(労務不能の証明)
- 会社に「事業主記入欄」を記入してもらう(給料の支払い状況など)
- 本人記入欄を埋めて健保に提出
- 審査後、指定口座に振込(初回は1〜2ヶ月かかることも)
申請は1ヶ月ごとにまとめて行うのが一般的。給料の締め日に合わせて申請するとスムーズです。
他の給付との関係
- 障害年金:同じ病気で障害年金を受けると調整され、傷病手当金が減額・不支給になることがある
- 出産手当金:期間が重なる場合は出産手当金が優先
- 失業給付:失業給付は「働ける人」が対象。働けない間は受給できないため、受給期間の延長手続きをして、回復後に失業給付を受ける流れになる
- 高額療養費:医療費の自己負担を抑える制度。傷病手当金(所得補償)と併用できる
自分の場合をシミュレーションしてみよう
支給額は月給と休む期間で変わるよ。自分の月給と休業の見込み日数を入れて、傷病手当金の日額・支給日数・総額の目安をつかんでおこう。
よくある誤解
誤解1:自営業・フリーランスももらえる
傷病手当金は会社員などの健康保険の制度で、国民健康保険には原則ありません。自営業の人は所得補償保険や貯蓄で備える必要があります。
誤解2:うつ病など精神疾患は対象外
業務外の病気であればうつ病などの精神疾患も対象です。実際、傷病手当金の受給理由で精神疾患は大きな割合を占めています。
誤解3:復職したら受給期間が終わってしまう
2022年改正で「通算」1年6ヶ月になりました。一度復職しても、同じ病気で再び休めば残りの期間を使えます。
誤解4:退職したら必ず打ち切られる
退職日まで継続1年以上の加入があり、退職時に受給条件を満たしていれば退職後も継続して受給できます。ただし退職日に出勤すると継続給付の対象外になるので注意。
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※本記事の内容は執筆時点(2025年)の情報に基づきます。支給額・支給可否は標準報酬月額や個別事情で異なり、他の給付との調整もあります。実際の受給は加入する健康保険(協会けんぽ・健保組合)にご確認ください。本記事は情報提供を目的としています。


